戸田整形外科リウマチ科クリニック

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坐骨神経痛には昆布出しを使ったビタミン12を多く含んだ料理が良い

昆布の白い粉にはマンニトールという物質が多く含まれています。血液中を流れている神経にとって有害な物質が神経に入らないようにするため、神経に栄養を与える血管には血液神経関門(かんもん)という関所(せきしょ)のような部分があります。しかし、関所は神経に有害物質を通さないだけではなく、分子量が比較的大きい傷を早く治す働きのあるサイトカインや神経栄養因子の多くも通してくれません。浸透圧(水を引きつける力)の強いマンニトールは血液神経関門を広げます。インスタント出しでも成分表示にマンニットと書かれていれば、同じ作用があります。詳しくは三笠書房から出した「1回1分腰痛が消えるちょいトレ」という本で書きました。一方、ビタミンB12はレバー、シジミやハマグリなどの貝類、サンマなどに多く含まれる水に溶けやすいビタミンであり、神経の材料である核酸やリン脂質を増やして、神経の傷を治す働きがあります。ある研究では22人の梨状筋症候群による坐骨神経痛の患者さんに昆布に多く含まれているマンニトールを静脈内に5日間点滴すると同時にビタミンB12をを6週間飲んでもらいました。その後、3ヶ月後と6ヶ月後に検査をしたところ、坐骨神経痛の症状は劇的に良くなっていました。MRIを撮影すると治療前には86.4%の患者さんで坐骨神経にブヨブヨとした腫れ(浮腫)がありましたが、治療後6ヶ月には坐骨神経に浮腫がある患者さんの割合は18.2%(約5分の1)に減っていました(Huang ZF, et al :Effect of Mann…J Back Musculoskelet Rehabil. 32:329-337,2019.)。当院でも7人の坐骨神経痛患者さんに4週間昆布出しを使った貝料理を食べてもらいました。その結果、足の痛みについて感想を言ってくれた5人の中で4人(80%)が改善し、足に力について感想を言ってくれた3人の中で2人(67%)が改善しましたが、痺れについての感想は4人中1人(25%)しか改善しませんでした。このように、坐骨神経痛には昆布出しを使ったビタミン12を多く含んだ料理は試してみる価値があると考えます。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝