変形性膝関節症の原因の一つは中学生時代の運動習慣がないかもしれない
体を支持する筋力の不足からか、雑巾掛けをする際に腕で体を支えられない児童も報告されています。一方で、過剰に運動をし過ぎると、Overuse syndrome(使い過ぎ症候群)となり、野球肘、オスグッドシュラッテル病、腰椎分離症、疲労骨折などの運動器疾患を引き起こす場合もあります。↓この運動できる子とできない子の二極化現象が将来に大きな問題を与えます。松田先生達は体を指示する筋力の指標として両腕を体側に沿えた腹臥位から勢いをつけずに、上半身を床から起こして保持させた「上体おこし」が役に立つと報告しています。(松田雅弘ら:調査研究ジャーナル.5: 111-119,2016.)
この二極化の原因はドラエもんに出てくる空き地のような自由に遊べる環境が数十年前より減少し、外遊びの時間が減っり、和式トイレなどしゃがみこむ機会が減ってきました。その反面、塾に通うことやテレビゲームなど屋内での生活時間が増え、運動不足になったことが原因です。松田先生達はそんな環境のため転んでも手をつくことが出来ずに前歯や顔面の骨折をしてしまうというような、自分の身を守る動作ができない児童が急増していることを指摘しています。(松田雅弘ら:調査研究ジャーナル.5: 111-119,2016.)
変形性ひざ関節症の原因の一つは肥満です。小児肥満(平均12.7歳)の68.8% が成人肥満(平均38.4歳)へ移行することが報告されています。↓その移行率は非常に高い。ゆえに成長期に肥満にならないことが重要です。佐々木先生達は2007年度に小学5年生として検診に参加し,2010年に中学2 年生として4年間成長期に追跡可能であった147名の体力を測定しました。その結果、運動クラブを辞めた生徒では筋肉の量が明白に少なくなっていました(佐々木英嗣ほか:日本臨床スポーツ医学会誌 22: 241-245,2014.)。成長期において特に女子では獲得筋量は少なく, 体脂肪率の有意な増加がみられた,部活動への参加により体格は大きく成長したが,継続できない生徒では体脂肪率が増加しました。だから、中学時代に運動習慣を身につけることは将来の変形性ひざ関節症に重要です。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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