スポーツ選手は「骨折なし」が最高の筋トレ
北京オリンピックが行われていますが、スポーツ選手にとって骨折は致命的な筋力低下になります。2018年5月に膝蓋骨を骨折したスノーボードの村瀬選手は凄く努力されたと思います
南デンマーク大学の研究では、11人の若者と11人の高齢者の膝にギプスを4日間巻き、ギプスを巻く前と巻いた後で膝を伸ばす筋肉の線維の太さを比較しました。その結果、瞬発力を引き起こすⅡ型筋肉線維は若者では平均21%も痩せていましたが、高齢者では平均11%しか痩せていませんでした。スポーツ選手が22%も筋肉が痩せたら、それを元に戻すためには、大変な努力が必要です。だから、ギプスを巻くような怪我をしないことが筋肉を温存するためには大切です。
スウェーデンのグラナダ大学では114万2599人の10歳代後半の男子の膝を伸ばす力、握力および肘を曲げる力を調べ、その人の総合筋力を点数にしました。その24年後にそれぞれの人の行方を捜すと、2万6145人が死亡していました。その理由は、自殺が最も多く22.3%であり、心血管疾患が7.8%でした。体格や血圧とは無関係に24年前に筋力が弱かった者は強かった者に比べて、心血管疾患で死亡者が20~35%多く、自殺した者が20~30%おおかったです。(Ortega FB,et al: BMJ. 2012 Nov 20;345:e7279)。だから、10歳代の頃から筋力を鍛えておくと、早死する確率が高くなります
論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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