体に貯まったガスの浮力で浮き上がってくるのは水深30mが限度
北海道・知床半島沖で観光船「KAZU 1(カズワン)」に関して捜索中の船の水中音波探知機(ソナー)に、海中で船体らしき反応があったことが4月26日に分かりました。カズワンから救助要請があっ「カシュニの滝」付近沖合の水深約30メートルの海中だそうです。北方領土まで流されたのでは、とか水深100mまで沈んだのではと心配されていましたが、これが本物であることを願います。
青木先生達の報告では、福島県相馬沖の水深230mに沈没していた船は2年後に引き上げられ、遺体が回収されたそうです(青木康博ほか:法医学の実際と研究.31: 217-223,1988.)。水深230mに比べれば30mなら早期に回収できるかもしれません。
ちなみに水中で亡くなると微生物が原因で体内にガスが発生するので水面に浮上してくることが多いです。しかし、渡辺先生によると体内に貯められるガスの量の限界は200リットル(これは通常の家庭用浴槽の大きさ)であり、それ以上溜まると皮膚がパンクするので通常の体格の大人では浮上限界は30mです。(渡辺富雄: 文部省研究報告集録医学及び薬学編 昭和四十四年I Page19,1970)。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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