貴晶会戸田リウマチ科クリニック

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仕事や買い物で歩いても殆どの場合は運動にならない。歩く目的で歩こう

「私は営業の仕事で長い時間歩いているから特に運動はしていません」という患者さんが良くいますが、仕事でカロリーを消費するためには、安静時の3倍以上のカロリーを中等度以上の身体活動が必要です。国内のある大学の研究では177人の異なった仕事の人の勤務中のカロリーを調査しました(田中千晶ほか:体力科学.61:435-441,2012)。その結果、1日の中で安静時の3倍以上のカロリーを消費する時間は、セールス(営業)マンでは平均40.2分でしたが、深夜見回りの警備員では平均131.3分でしあり、セールスマンの3倍以上でした。つまり、外回りのお仕事程度では体重を下げるような運動にはなりません。 歩数計(万歩計は固有名詞)で測る歩数は買い物などの生活上の外出では増えません。ある調査では、高齢者の屋内のみの1日平均歩数は848歩、買い物など生活上の外出は1日平均2661歩、趣味などのその他の外出は平均4360歩、運動目的の外出は1日平均9903歩でした(青木慶司ほか:東京都医師会雑誌63:484-486,2010)。買い物で長い時間歩いているのに歩数をカウントしない理由は、かかとを地面に思いきりつけてつま先で蹴り出すという、正しい歩き方をしていないからです。革靴やパンプスなどの仕事靴では正しい歩き方はできません。 つまり、ちゃんと筋肉を使えていないので運動しているとは言えないし、その分のカロリーもちゃんと消費出来ていません。歩数計は6~7秒一定の速度で歩いて初めて、歩数計は計測を始めるそうです。つまり、買い物など生活上の外出で歩数が計測されていないのは、ちょっと歩いて、止まって、またちょっと歩いてを繰り返してるだけだからです。だから、健康のために歩く時は、「○○しながら歩く」ではなく「歩くために歩く」としましょう。 論文の解説 江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝