あくまで予測だが。静脈注射と脊髄内投与を混同してしまった事故では?
埼玉県立小児医療センターは3月11日、白血病の治療で抗がん剤を背中に注入した後、10代の男性患者1人が死亡し、10歳未満と10代の男性患者2人に重度の後遺症が残ったと発表しました。抗がん剤の髄腔内投与は、脳や脊髄の周囲へ直接薬剤を注入する治療法です。血液脳関門を通過できない薬剤を届けるため、白血病の治療に有効で、全身性の副作用を抑えつつ局所へ高い効果を発揮します。日本国内で脊髄内投与が認められている抗がん剤はメトトレキサートとシタラビンの2剤のみです。
今回のケースでは分析機関に患者の検体検査を依頼したところ、ビンクリスチンが検出されたそうです。調査対策委員会は今月、この薬液が異変の原因である可能性が高いとの結論を出しました。ビンクリスチンも抗がん剤であり、ビンクリスチンとメトトレキサートの複合は、白血病の化学療法として静脈注射としてはよく使われる組み合わせです。しかし、ビンクリスチン(商品名オンコビン)は、強力な末梢神経障害を主とする薬剤ですが、脊髄を含む中枢神経系への副作用として、頻度は不明ながら錯乱や昏睡、痙攣、脳梗塞などが報告されています。これはあくまで僕の予測ですが、静脈注射と脊髄内投与を混同してしまった事故ではないかと思います 解説:江坂の整形外科クリニック 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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