スポーツ用膝サポーターは一般の膝の痛みには無用の長物
スポーツ選手が怪我をしたままスポーツをするための重装備なサポーターが一般の人の膝の痛みにも効果があるという触れ込みで売られています。重装備なサポーターとはひざ関節内側および外側に蝶番《ちょうつがい》が付いた支柱で側副靱帯の機能を補強し横揺れを防ぐとともに、脛骨の前方から面テープで圧迫することによって十字靭帯を補強し前後方向の揺れを防ぐ機能がついたものです。
僕(戸田佳孝)はこの重装備サポーターと靭帯の補強機能のついていないシンプルなサポーターの効果を比較しました(戸田佳孝ほか:変形性膝関節症に対する装具療法. 特集:すぐに役立つ日常診療に対する私の工夫. MB Orthop 22: 256-262, 2009)。4週間の治療期間中に使用をやめてしまう人は、シンプルなサポーターを装着した31人中2人(6・5%)、重装備サポーターを着けた29人中12人(41・4%)でした。重装備サポーターを中止する理由は、「デザインが病人らしい」「装着するとかえって痛みが増す」「蒸し暑い」ということでした。治療効果はむしろシンプルな方がよかったです。このように、重装備なサポーターの欠点は①高価、②継続率が低い、③バランスが不安定になることです。つまり、一般的な膝の痛みにはスポーツ選手用のごちゃごちゃしたサポーターよりもシンプルなサポーターの方が優れています。文献の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
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