前立腺肥大症の薬の一種はED治療薬にも使えるため値段が高いのではないか?
俳優で歌手の西郷輝彦さんが前立腺がんで亡くなりました。お悔み申し上げます。前立腺がんと肥大症は別の病気ですが、今日は男性に多い前立腺肥大症の話をします。↓前立腺肥大症は50 歳以上で増え、60歳台では 5 割以上、70 歳台では約 7 割の方が罹患しているといわれています。主な症状は、尿回数の増加、夜間に何度も排尿に行く、尿が出にくいなどです。さらに進行すると、尿閉(尿が出ない)、細菌感染を来す原因となってしまいます。
2017年にだされた前立腺肥大の治療のガイドラインでは,初期診療の第一選択は平滑筋の緊張を和らげ高血圧の薬としても使われるα1遮断薬とPDE5阻害薬です(山西友典ほか:臨床泌尿器科 75: 476-481,2021)つまり、高血圧もあり前立腺肥大症もある人にとっては一石二鳥の薬になりえます。
ところが、代表的なα1遮断薬の後発品の薬価は15.1円に対して代表的なPDE5阻害薬の後発品の薬価は696円と約46倍もします。タダラフィルという成分はEDの治療薬としても用いられるので、その値段とバランスをとるために値段が高いのではないかと僕は考えます。しかし、保険適応のない別の症状に薬を使用した場合は副作用で健康を害した際に、治療費などを保障してもらえる「医薬品副作用被害救済制度」は受けられませんので、転用はせず、必ず医師の指示を守って下さい。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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