変形性ひざ関節症の人:何度も転倒する時は人工関節の手術をした方が良い
変形性ひざ関節症が進行してくると、ひざの横揺れや前後方向の揺れを防ぐ靭帯がゆるんできます。こういう状態になると、歩くときに大腿骨に対する脛骨の回転の仕方がおかしくなります。そのため、平坦な道を歩いているのに、突然、ひざが「ガクッ」と曲がり、姿勢を保つのが難しくなります。ひどいときには転倒して骨折することがあります。僕の調査では100人の変形性ひざ関節症の患者さんに「ひざくずれを起こしたことがありますか?」という質問と「転倒して骨折を起こしたことがありますか?」という2つの質問をしました。その結果、ひざくずれの経験のある35人の中で、転倒骨折の経験のある人は12人(34%)でしたが、ひざくずれの経験がない65人の中ではわずか2人(3%)でした。つまり、ひざくずれは骨折のもとです(戸田佳孝ほか:変形性膝関節症患者の膝くずれ症状 整・災外 52:311-315, 2009)。
ひざくずれを何回も起こすようになった患者さんには、骨折を防ぐために人工関節置換術などの手術を受けることをすすめます。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
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