戸田整形外科リウマチ科クリニック

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将棋の名人は古い脳で考える。しかし、古い脳の老化は早い

藤井聡太さんが新王将になりました。史上最年少19歳での5冠達成ですね。今までの将棋の名人が最初に獲った年齢とタイトルを手放した年齢を考えると中原誠さんが20歳から45歳、羽生善治さんが20歳から48歳、谷川浩司さんが21歳から42歳であり、一般的な職業より若くして頂点を過ぎるように思います。その理由を過去の論文から医学的に考えてみました。 ヒトの脳は深い部分から浅い部分に積み重なって進化してきました。だから、高度な思考は表面に近い大脳皮質で行われることが多いです。田中先生達は将棋のプロ棋士またはアマチュア高段者の脳活動を測定しました。その結果、プロ棋士では次の一手の直観的決定には大脳基底核が,攻めるか守るかの戦略の決定には帯状皮質が重要な働きをしていました。つまり、プロ棋士はアマチュアに比べて普通の人では原始的な行動で働く進化的に古い脳を使って将棋を打つことがわかりました。 高橋先生達は、顔から名前を思い出す検査を20歳代10人と60歳代11人に行ってもらい、その時の脳の活動を調べました。その結果、当たり前ですが60歳代は20歳代に比べて成績が悪かった。20歳代でも60歳代でも活動していた脳の部分は先ほどのプロ棋士が戦略を決定する時に使っていた帯状回などでした。そして帯状回は年齢の変化で血流が少なく老化しやすいです。つまり、顔から名前を思い出すような直感を大切にするプロ棋士の思考は年齢の変化を受けやすいと僕は考えます。しかし、藤井王将には長く5冠を保持してもらいたいと思っています。 論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝