軟骨には神経は通っていないのに変形性膝関節症になるとなぜ痛むのか?
正常なひざを前から見ると大腿骨と脛骨からなり、その間にクッションとなる半月板がはまっています。大腿骨と脛骨が直接ぶつかり合わないように、骨同士が接する面は軟骨で覆われています。大腿骨と脛骨を結びつけるのが、膝蓋骨(ひざのお皿)と一体になった靭帯。側副靭帯はひざの横揺れ、十字靭帯は前後の揺れを防ぎます。ひざ関節は関節包という袋に包まれており、なかに入っている関節液は関節を滑らかに動かすための潤滑油です。
これらのパーツのどこかに問題があると、ひざは正常に機能せず、痛みが起こります。また、大腿骨の下部はその形状から内側に体重がかかりやすく、ひざの内側に痛みが出やすいのもそれが理由です。
症状が進行すると、歩くこともままならなくなる変形性ひざ関節症。高齢者に多く見られ、日本人の4人に1人がかかるという報告もあります。その大半が女性なのも特徴です。
正常なひざは、上下の軟骨とその間でクッションの役割を果たす半月板がぴったりはまっています。加齢とともに軟骨がすり減ると、その噛み合わせが悪くなり、やがて半月板が割れてしまいます。しかし、こうした変化は誰にでも起こりうる自然な老化現象。この時点では痛みがない人も多く、自覚症状があっても歩き始めなどに違和感を覚える程度です。
痛みが出始めるのは、ひざに圧力がかかった際に割れた半月板の破片が横へ押し出されるようになってから。側副靭帯というひざの側面にある靭帯の神経が圧迫され、痛みが発生します。(文章は戸田佳孝:ひざ痛を自力で治す. 大洋図書、2024年より引用。宜しければご購入下さい)解説:江坂の整形外科クリニック 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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