もし、タリウムを飲まされた時にはどうするべきか
京都市の立命館大3年浜野日菜子さんがタリウムを食べたことにより殺害された事件で、不動産経営宮本一希容疑者が殺人容疑で逮捕されました。宮本容疑者は浜野さんの体調急変後、119番しませんでした。タリウムは鼠を殺すメリー猫などの殺鼠剤(さっそ剤)に含まれています。もし、他人にあなたやあなたの家族が毒を飲まされた時にそれがタリウムである特徴は、嘔吐、両脚のだるさと激しい痛み、眼が細かく動くなどという症状です。これらの症状があれば、開業医ではなく病院の救急外来に行き、キレーション療法を受けましょう。
キレーション療法とは、体内から有害なミネラルや老廃物を取り除く治療のことです。血管内に薬剤を点滴して行います。「キレート」とはギリシャ語でカニのハサミを表し、カニが物を挟むように薬剤が重金属と結合するため、「キレート剤」という名前がつけられました。Domenico先生の報告では同一核家族内8名に発症したタリウム中毒が急搬送された時にプルシアンブルーによるキレート療法を行いました。その結果、8名中5名が重篤な中毒ではあったが救命されました。タリウムによる中毒だと思われたら医師に「プルシアンブルーによるキレート療法が効くと聞いたことがあります」と言って助かることもあるかもしれません。
解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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