上皇后の大腿骨上部骨折の病状は良好と予測します。
令和6年10月8日宮内庁上皇職は「上皇后様は東京大学医学部附属病院において、右大腿骨上部の骨折手術をお受けになり無事終了しました。今後は、経過を見ながら1週間から2週間ご入院になる見込みです。」と発表しました。大腿骨頚部は股関節包の内側にあるのに対して,大腿骨転子部は股関節包の外側にあります。骨の表面には外骨膜があり,折れた骨が癒合する時に重要な役割をします.ところが,関節包の内側にある大腿骨頚部にはこの外骨膜が存在しないため、この部分の骨折は非常に癒合しにくいという特徴があります.「骨折手術」という表現からおそらく大転子と小転子の間を貫く骨折で転子間骨折だと僕は思います。なぜなら、頚部内側骨折ならば、人工関節置換術と表現するはずです。
頚部内側骨折には人工関節置換術を行うのが一般的ですが、転子部骨折では、大腿骨の芯に髄内釘という釘を入れるかプレートを当てて、そこから骨折部に斜めからスクリューを入れるという手術をするのが一般的です。骨膜が残っているので自分の骨で骨折が治ります。大腿骨転子部骨折受傷1年以内の死亡率は10-30%ですが、 死亡率は受傷1年以降では骨折の余命に与える影響はほぼ認められなくなります。リハビリをしっかりされれば、骨折のせいで命にかかわる影響はないと思います。解説:戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
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