寒い日は転倒骨折予防に足を温めよう
昔からの健康法として「頭寒足熱」(ずかんそくねつ)がありますが、整形外科的には足を冷やすと足底感覚が低下し、足底から脳への情報が減り、転倒骨折しやすくなります。渡邉先生達の研究では足底を冷却する前後に重心動揺性を計測しました。その結果、足部を冷却した後は前に比べて、体の重心の揺れが大きくなりました(渡邊修司ほか:冷却刺激による足底感覚低下が立位バランスに及ぼす影響.臨床福祉ジャーナル8:82-86,2011.)
しかし、足の冷え症を治すために靴下の多重着用する人がいますが、坐骨神経
刺激症状(腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア)がある患者さんでは転倒可能性が増えます。富田先生達の研究では神経疾患のある人と健康な人の裸足と靴下3枚着用の2条件で目を閉じた時の重心動揺性を計測しました。その結果、神経疾患のある人では裸足時に比べて靴下3枚着用時には重心の揺れが激しくなりましたが、健康な人では2つの条件で重心の揺れに差はありませんでした(冨田健一ほか:靴下の多重着用が立位バランスに及ぼす影響.京都在宅リハビリテーション研究会誌.3:17-20,2010.)。つまり、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアの患者さんは靴下の重ね履きをすると転倒骨折の危険性が高くなります。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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