戸田整形外科リウマチ科クリニック

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料理に熟練すると肩がこらないが、玉葱を切ると涙が出る

伊藤先生らの研究では、27人の女性に包丁で刻む作業をしてもらい、2台のビデオカメラで前後からと左右から撮影を行いました(伊藤文香:茨城県立病院医学雑誌.2013-16,2002.06)。その結果、週4回以上包丁を使って人を包丁熟練群、週3回以下を未熟群に分けてその作業ぶりを比較しました。その結果、熟練群では肩と肘の連動した動きがあり、体が揺れることはありませんでした。未熟群では体が前後方向に揺れ、二の腕が回転し、手関節が上下運動していました。つまり、包丁に熟練した人が物を刻む時は肘と肩が一定のリズムで一緒に動き、体がブレないことがわかりました しかし、いくら料理に熟練してもたまねぎを切ると涙はでます。国内のある大学の研究では、20歳代から50歳代までの人にタマネギに含まれる硫化アリルという催涙物質を与えて、その刺激に耐えられる時間を比較しました(Higashihara Hisayo et al; Japanese Journal of Ophthalmology.54: 215-220,2010.)。その結果、20歳代が他の年代に比べて明らかに短かったです。逆に、タマネギを切っても涙が出なくなるのは料理に熟練してきたのではなく、目の表面の感覚が低下してきた老化現象の現れです。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝