戸田整形外科リウマチ科クリニック

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生活の中で積極的に体を動かす意識を持った方が中途半端な運動より減量できる。

「私は営業の仕事で長い時間歩いているから特に運動はしていません」という患者さんが良くいますが、仕事でカロリーを消費するためには、安静時の3倍以上のカロリーを中等度以上の身体活動が必要です。国内のある大学の研究では177人の異なった仕事の人の勤務中のカロリーを調査しました(田中千晶ほか:体力科学.61:435-441,2012)。その結果、1日の中で安静時の3倍以上のカロリーを消費する時間は、セールス(営業)マンでは平均40.2分でしたが、警備員では平均131.3分であり、セールスマンの3倍以上でした。つまり、外回りのお仕事程度では体重を下げるような運動にはなりません。 運動で体重を落とすのは難しいよね。その理由の一つは、食欲を強くするホルモンの分泌です。グレリンは筋肉などから分泌される食欲を強くするホルモンですあり、食事前に上昇し,食後速やかに降下します。中等度強度(運動中やっと会話ができる程度)の運動をすると末梢から分泌される食欲亢進ホルモンであるグレリンが沢山分泌されますが、高強度の運動(会話できない程度の運動)の後はグレリンの量は安静にしている時と差がありませんでした。(宮下政司:体力科学 65:367-373,2016.)。つまり、運動中やっと会話ができる程度の運動をした後はお腹が減って返って肥ってしまうことになります。 中途半端な運動より毎日積極的に体を動かす意識を持った方が良いです。閉経後の女性を対象に日常生活の中で,「4週間の間、進んで体を動かすようにしてください」と頼んだ「できるだけ動こう」グループ15 名と今までの生活を維持する「今まで通り暮らす」グループ15 名とに分類しました(枝元香菜子ほか:体力科学.64:485-492,2015.)。その結果、「できるだけ動こう」グループでは4週間前より1日の歩数が平均600歩増え、動いている時間が1日平均5分増え、1日の消費カロリーが15kcal増え、空腹時のコレステロール値が統計学的明白に落ちました。このように「体をできるだけ動かそう」と思い続けるだけでも生活習慣病の予防に役立つのです。 論文の解説 江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝