
骨粗鬆症の人口は,男性300万人,女性980万人であり,男性より女性の方がなりやすい病気です.睡眠障害も高齢者の4人に1人が悩まされており、加齢に伴う睡眠障害の訴えは男性より女性に多いです。つまり骨粗鬆症・睡眠障害ともに女性に多いです。岡先生達の研究では高齢女性162人を対象に睡眠時間と骨密度の関係を調べました。その結果、睡眠時間が5時間未満の群では骨密度が有意に低下していました。また.睡眠の質は,5時間未満の人では低く,5時間以上の人では高かったです。
骨はショートケーキのように真ん中のスポンジ(海綿骨)とその周りを取り囲むクリーム(皮質骨)でできています。皮質骨は固く、卵の殻のようであり、強い衝撃にも耐えられるようになっています。腰椎は海綿骨が多く、皮質骨が少ないですが、強い衝撃の加わりやすい大腿骨頸部は皮質骨が多いです。Niimi先生達の調査では副甲状腺ホルモンであるテリパラチドによる治療では12ヶ月後の骨密度は腰椎では平均は11.9%も増えましたが、大腿骨頸部ではたった0.4%しか増えませんでした。やはり転倒骨折予防のためには十分な睡眠と筋トレで股関節周囲の筋肉を厚くすることです。解説:江坂の整形外科クリニック 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝