肥満予防には食事はゆっくり食べて、できるだけ体をうごかそうと意識しよう
国内のある大学の研究では、11人の健康な人に食べ物の塊が無くなるまでよく噛んでから飲み込んだ時と塊でも飲み込んでとにかく早食いした時で食後の体温上昇で失われる熱量を比較しました(濱田 有香ほか:体力科学.65: 287-295,2016.)。300kcalの食事をしてもらった場合、早食いをした時はゆっくり噛んで食べた時より食後に失われる熱量は、10kcalも少なかく、不眠になりやすかったそうです。
その理由はゆっくり食べた方が胃や腸が活動する時間が長いので、胃や腸の運動でエネルギーが消費されるからです。これを成人男子が1年間に食べる食事の量に置き換えると10800kcalの差となり、体脂肪の量では1.5kgに相当します。早食いする人はゆっくり食べる人に比べて1年で1.5kgの脂肪が貯まります。
また、閉経後の女性を対象に日常生活の中で,「4週間の間、進んで体を動かすようにしてください」と頼んだ「できるだけ動こう」グループ15 名と今までの生活を維持する「今まで通り暮らす」グループ15 名とに分類しました(枝元香菜子ほか:体力科学.64:485-492,2015.)。その結果、「できるだけ動こう」グループでは4週間前より1日の歩数が平均600歩増え、動いている時間が1日平均5分増え、1日の消費カロリーが15kcal増え、空腹時のコレステロール値が統計学的明白に落ちました。このように「体をできるだけ動かそう」と思い続けるだけでも生活習慣病の予防に役立つのです。
論文の解説 江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長
戸田佳孝
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