腰痛の時にコルセットを着けないと膝まで悪くなる
英語で腰痛のことをウィチッズブロウ、魔女の一撃といいます。ほうきで一撃されると膝を曲げて歩くから膝にかかる負担が大きくなります。ケンタッキー州Louisville大学の研究では、手術をするほど重症の変形性ひざ関節症患者さん42人の中で31人(74%)もの人が腰痛もあると答えました。さらに、変形性ひざ関節症と腰痛のある31人の中で30人が腰痛が出現してから膝の痛みがより激しくなったと答えました。なぜならば、変形性ひざ関節症になると膝を曲げて歩くためにその姿勢を支えるために、腰に負担がかかるからです。だから、ぎっくり腰がよく起る人は変形性ひざ関節症は早い段階で治療しなければ、歩けなくなり寝たきりの原因となります。
辻先生らは、199人の立った状態での下半身のレントゲン写真を撮影して、骨盤が前に傾いている度合いと膝の伸びにくさとの関係を調べました。その結果、腰痛のある人では立っている時に膝が曲がっており、膝も痛い人が多かったです(Tsuji T, et al: J Orthop Sci. 7:519-23,2002)。なぜなら、骨盤が前に傾いた猫背姿勢で歩いていると膝を曲げて歩行しないとバランスがとれないからです。こんな状態を膝―背骨症候群(knee-spine syndrome)と呼びます。だから、腰痛の時でもコルセットを装着して背筋を伸ばして歩行しなければ、膝まで痛くなってきます。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
前の記事へ | TOPヘ | 次の記事へ |