65歳以上の人は動きの速い筋トレがお薦め
僕は高齢者にはどのような運動が良いかを調べました。161人の変形性ひざ関節症患者の中で50人にはゆっくりとして筋トレである足先内向きコーナースクワットをして頂きました。同じく50人の患者さんには体重計の上に芯にスプレー缶を入れたトイレットペーパーを置き、膝を伸ばしたままひざの上で思いっきり押さえつける。その時の目盛りの80%の力で筋トレを続けるセッティングという運動をしてもらいました。残りの51人には骨盤の前に出した掌に太腿が着くまで脚をできるだけ早く揚げる動作を朝夕50回行う水平足踏みを行ってもらいました。治療期間は8週間としました。
予定治療を達成した77人の65歳以上の高齢患者の日常生活困難度の改善率は24人のセッティングをした人達では平均32%改善し、31人の水平足踏みをした人達では62%改善し、22人のスクワットをした人達では34%改善しました。水平足踏みの成績がセッティングやスクワットの成績に比べて統計学的に明白に優れていました。痛みの程度の改善率はセッティングが平均30%、水平足踏みが52%、スクワットが-42%であり、速い動きである水平足踏みの成績がセッティングの成績に比べて明白に優れていました。なお、65歳未満の患者さんではこのような差はなかったです。
速い動きで働く筋肉と遅い動きで働く筋肉の比率は大腿四頭筋で50 : 50、ヒラメ筋で10 : 90、前脛骨筋で30 : 70であり、大腿四頭筋には年齢による変化を受けやすい速筋線維の割合が他の下肢筋に比べて多いのです。だから、早い動きの運動を積極的にしましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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