「命に別状なくて良かった!」。母親の罪が軽くなる。ホテル従業員に感謝
5月10日朝、堺市堺区のラブホテルの従業員から、「赤ちゃんが産み落とされている」と119番がありました。大阪府警堺署によると、ホテル一室のトイレの便器内で生まれたばかりの女児が発見されましたが、命に別条はないそうです。府警は風俗店従業員(29歳)を逮捕しました。調べに対して「全く愛情がなく、産むつもりも育てるつもりもなかった」と話しているそうです。
それにしても命に別状がなくて良かったです。近藤先生の調査によると重大事件を起こした女子少年44人中19人(43.2%)が出産直後のわが子を死亡させた嬰児殺でした(近藤日出夫:犯罪社会研究.33:157-176)。つまり、若い女性の犯罪の多くが嬰児殺なのです。赤ちゃんが死んでいたら産み落とした母親の罪も重くなるところでした。早く気づいてくれたホテル従業員の方にも感謝ですね。
未だに法律的な制度は整っていませんが、慈恵病院(熊本市)は匿名での出産を望んで入院している女性が無事に出産と発表しています。少子高齢化の昨今、本当に困った場合は内密出産も検討するべきだと僕は考えます。ただし、山縣先生が指摘されているように内密出産には子どもが「出自を知る権利」より、親が「自分の身元を知られたくないという要求」を優先するのか、などの問題が残っています(山縣文治ほか:こどもの虐待とネグレクト.21:210-218,2019.)。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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