サポーターは「円筒形」ではなく「巻く型」を選ぼう
僕が毎日診療をしていると「ひざを冷やさないため」という理由で、多くの患者さんが「円筒状の布」を靴下のようにひざに履いています。多くの日本人が、この円筒状の布を「サポーター」と呼んでいます。
しかしこれは、サポーターのようでサポーターにあらず。専門家から見ると「サポーターもどき」とでも言うべき代物(しろもの)です。
この円筒形の布は保温には役立つかもしれません。しかし、サポーターの本来の目的は保温ではありません。ひざを締めつけることによって、ひざにある感覚レーダー(固有知覚)を鋭敏にすることにあるのです。
固有知覚とは、目で見なくてもひざを適度に曲げたり、伸ばしたりできる感覚のことです。たとえば、階段を上る時にいちいち段差を見なくても、多くの人は適切な角度にひざを曲げ、次の段に足をかけることができます。
これが固有知覚です。
固有知覚を鋭敏にするためには、「円筒形」のサポーターよりも、「巻く型」のサポーターの方が効果的なことがわかっています。
円筒形では初めはきつく感じても、サポーター本体の繊維がゆるむことと体が慣れることで、時間とともに締め付けられる感覚が弱くなっていきます。
しかし、巻く型では着けるたびに面テープの位置を少しきつく調整することで、締め付けられる感覚を持続できます。解説 江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
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