60年以上前に日本で大流行したポリオウイルス感染症のその後
60年以上前に日本で大流行したポリオウイルス感染症のその後
コロナに対する特効薬がなかなかできません。ワクチンの副作用を心配する声もありますが、ウイルスによる病気はワクチンが一番有効なようです。小児麻痺(ポリオ)は腸管に入ったウイルスが脊髄の一部に入り込み、主に手や足に麻痺があらわれ、その麻痺が一生残ってしまうことがあります。日本では、62年前の1960年に、ポリオ患者の数が5千人を超える大流行となりましたが、生ポリオワクチンの導入により、流行はおさまり1980年の1例を最後に、現在まで、新たな患者は出ていません。世界的にも99%以上減少し、2016年には患者が37人となりました。
ロータリークラブではこれまでに21億ドル(日本円で約3兆円)の費用と無数のボランティアでポリオ撲滅運動に捧げ、122カ国の30億人近い子どもを手足のまひを引き起こすポリオから守ってきました。しかし、日本ではポリオ患者さんを見ることが少ないのでこのロータリークラブの活動があまり評価されていないように思います。
日本のポリオ大流行から60年あまり。整形外科ではポリオの後遺症による変形性足関節症に悩む患者さんを治療する機会があります。ポリオによる足の変形は典型的には足が内側に傾く内反と土踏まずが深くなります。長年親指を中心に歩いていると関節の軟骨のすり減りが早くなりなり、人よりも早く変形性関節症が進行します。我々開業医では注射や装具で治療します。重症例になると手術も行われます。西井先生らによると変形に対して骨切り術を行えば、3ヶ月で痛みなく歩けることが多いようです。コロナウイルスは厄介ですが、人類とウイルスは昔から共存してきました。コロナも60年後にも後遺症を残すかもしれません。ポリオの教訓を大事にするべきだと僕は思います 解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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