貴晶会戸田リウマチ科クリニック

診察予約・お問合せは 06-6387-4114
受付時間 | 9:30〜12:30(月-土) 15:30〜18:30(月-水,金)

1年半以上山中野ざらしの骨からの本人確認するのはなぜ難しい

山梨県道志村の山中で子どもの頭部とみられる人骨の一部が見つかったことを受け、山梨県警は29日、同村のキャンプ場で2019年9月に行方不明になった小倉美咲さん(当時9歳)との関連を調べています。 しかし、2020年5月1日には発見された骨による細胞の核からのDNA鑑定では個人が特定できなかったと発表されました。その理由はこの骨が死亡から数年経過しているためだと考えられます。骨のDNA鑑定する時には脱灰という骨のカルシウムを溶かす作業をします。永井先生達によると山中で発見された死後1年半ぐらい経過した骨では脱灰しても核からのDNAの抽出量が極度に低下したが、山中で発見された死後半年ぐらい経過した骨では他の試料に比べ抽出量は多かったと報告しています(永井 みどりほか: DNA多型.25:23-126,2017)。 山梨県警によると今度は親子関係などに使われる細胞質にあるミトコンドリアのDNAを鑑定すると発表しました。多分、お母さんのミトコンドリアDNAと照合するのだと思います。しかし、高柳先生達によるとミトコンドリアDNA鑑定は血液を使った場合に比べて、髪の毛を使った検査では、一つの細胞のなかで、正常なミトコンドリアDNAと変異したDNAが一緒に存在するヘテロプラスミーが沢山起こっていたと報告しています(高柳カヨ子ほか: DNA多型.12:114-116,2004)。いずれにしろ、この骨が美咲さんの物ではなく、美咲さんが生存していることを祈っております。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝