和式トイレが減って膝を傷める子供が増えた
日本では、和式のトイレがへりましたが、ネパールやインドにバス旅行するとアジアン・スクワット・トイレットしかないそうです。日本の小中学生 54000人を対象として実施された運動器検診では,全体の約10 %の児童および生徒がしやがみこみ動作が不可能だったそうです(帖佐悦男: Jpn J Rehabil Med, 55 : 9ー13,2018)。
慈恵大学の調査では、5秒間しゃがみこみができなかったサッカー選手23人に2年後に電話をして「この2年間で膝や腰が痛くなりましたか?」と質問をすると20人つまり67%が「痛くなった」と答えました(川井謙太朗ほか:理学療法科学.30: 783-786,2015)。また、他の研究では、手を後ろに組んでしゃがみこめる高校野球選手はそれができない選手に比べて、足首を反らすことができる角度が大きかったです(吉田真ほか:北海道理学療法.21: 52-55,2004)。つまり、足首が柔軟でしゃがみこみが5秒以上できる人は、膝を傷める可能性が低いです。
しゃがみこみができないのは股関節を外側に開く筋肉が短くなっていることが多いので、股関節と膝をまげて反対側の足首を太腿の上に乗せ反対側の太腿を体に引き寄せるストレッチが効果的です(田城翼ほか理学療法科学.33: 935-940,2018)。なお、このストレッチにはスポーツ前の怪我予防としても重要です
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
前の記事へ | TOPヘ | 次の記事へ |