戸田整形外科リウマチ科クリニック

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変形性膝関節症で階段昇降がつらい人は内側広筋と外側広筋を鍛えよう

変形性ひざ関節症に対する代表的な筋トレは脚を真っ直ぐ前に伸ばす訓練です。椅子に座って膝を10秒間伸ばし、その後2秒間足下ろします。この運動を5回繰り返してください。12×5回ですから、ちょうど1分(60秒)となります。でもこの訓練では前ももの筋肉である大腿直筋が主に鍛えられます。 しかし、ひざの悪い患者さんで多いのが、「階段を降りるときに痛い」という人です。なぜ階段を降りるときに痛むのでしょうか。それは、階段の上り下りのときに、体の横揺れが大きくなるからです。日常生活での体の横揺れの度合いを調べた研究によると、最も横揺れ(重心動揺性)が増加していたのは階段を降りていたときでした(内田全城ほか:理学療法科学 29:549-553,2014.)。 とくに脚を開くときに働く「外転筋(外ももの筋肉)」が弱っている変形性ひざ関節症の患者さんは、階段の上り下りのときに体の横ゆれが大きくなります。そのため、ひざが動揺して痛みが増してしまうのです。 また、内転筋が衰えると、ひざのお皿の骨(膝蓋骨)を正常な位置につり上げられなくなります。そのため、膝蓋骨と太腿骨のかみ合わせが悪くなり、その間にある軟骨がすり減ってしまうのです(高松敬三:.久留米医学会雑誌.74:23-32,2011)。 ですから、階段を降りるときにひざが痛む人は、大腿四頭筋と一緒に、外転筋と内転筋も鍛えていただきたいのです。股関節の外転筋力を強化すれば、歩くときに骨盤が揺れるのを防ぎ、ひざにかかる負担を減らすことができます 外転筋の鍛え方として僕は、壁に手を添えて立ってもらい、その状態で脚を開く筋トレの方法を考えました(戸田佳孝:整・災外.60:813-817,2017)。鍛えたい脚の反対側の手を壁につきながら、斜め後ろに足を上げ、その状態を1秒間キープします。脚を閉じたら、また1秒間キープ。これを一度に15回から始めて少しずつ増やし、2週間後には30回を目標とします。これを1日2回(朝と寝る前に)行います。 もう一つ、股関節を内側にひっぱる内転筋の筋トレは、椅子に座った状態で行います。鍛えたい方の脚のひざ関節を伸ばし、そのままの状態で脚全体を内側に回します。その姿勢を3秒間キープし、太ももの内側が少し痛くなるくらいの強さで行います。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝