捻挫予防には短い時間しかできない側の片足立ちを練習しよう
私が日頃整形外科の診察をしていると、捻挫で来られる患者さんは男性よりも女性が圧倒的に多いです。ほとんどの捻挫は足を内回しにした時に起こります。例えば、ハイヒールをはいて階段を下りる時に足を踏み外した時に足が内側にねじれた時に起こります。ある研究では健康な男子大学生25名(50脚)と女子大学生25名(50脚)の足首の動きを比較しました。その結果、足首の内回しと外回し動きは、男性に比べて女性で統計学的に明白に大きかったです(三谷保弘:理学療法科学.27: 665-670,2012)。つまり、足首の内返しの可動域が大きい女性では、捻挫を起こす肢位をとりやすいのではないかとこの論文では結論づけています。女性の皆さん、足首の捻挫に気をつけて下さいね。
スポーツ外傷全体の中で足関節捻挫は15%を占めており、最も多いです。国内のある大学の研究では、ハンドボール部とバスケットボール部の選手102人に目をつむって片足ずつで立ってもらい、その時の揺れの度合いを比べました(高橋竜平ほか:中部日本整形外科災害外科学会雑.54:1171-1172,2011)。その結果、捻挫をしたことのある人では、捻挫をしたことのない人に比べて、片足立ちでの揺れの度合いの左右差が大きかったそうです1)。つまり、じっと立っている時のバランス能力の左右差が足首の捻挫の原因になる可能性があります。だから、捻挫予防には短い時間しかできない側の片足立ちを練習しましょう。
体重が増えると、それを支えるためにふくらはぎの筋肉が大きくなってきます。しかし、靱帯(骨と骨とを結ぶ)は体重の増加にともなって強化されません。国内のある病院では、世界中から捻挫と肥満との関係について書いた論文を5つ検索して、総合的に判断しました(田中昌史ほか北海道千歳リハビリテーション科学.1:115-118,2015)。その結果、身長に対する体重の割合(BMI)が高くなると、足首を内側にねじって起こる捻挫を起こす確率が増えていました。最近、肥ったと思った人は捻挫に気を付けましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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