腰痛で睡眠不足になれば、余計に腰痛が強くなる。整形外科で注射を受けよう
2022年4月4日、大阪・淀川区の2階建ての建物の2階の部屋で、1階にある弁当店のアルバイト従業員で、ベトナム国籍のヴォ・ティ・レ・クインさんが首を絞められて殺害されているのがみつかり、警察はこの部屋に住む運送会社社員、山口利家容疑者(59)が殺害後、かばんを奪ったとして強盗殺人などの疑いで逮捕しました。調べに対して山口容疑者は「腰痛で働けなくなり、お金に困り、借金を申し出たが、断られたため殺害した」と話しているそうです。
2000年代になってから脳の活動が画像で見えるようになりました。腰痛が長びいている人の脳の活動を見ると、痛みに関係する脳の部分だけではなく、感情に関係する辺縁系や物事の判断に関係する前皮質にまで変化がでていました(半場 道子.医学のあゆみ260:135-140,2017)。つまり、腰痛が長引くと痛みを恐れる感情が強くなり、痛みを実際よりも強く判断してしまいます。
僕が診察をしていると「薬は副作用がこわいからできるだけ飲みません」という方が結構多いです。折田先生の調査では腰痛患者さんでは腰痛のない人に比べて明白に睡眠時間が短かったそうです(折田 純久ほかJournal of Spine Research.9: 1031-1037,2018.)。一方、睡眠不足は炎症起こすサイトカインという痛みを強める物質を増加させます。つまり腰痛が睡眠不足を招き、睡眠不足が腰痛を強めるという悪循環が起こります。だから、腰痛で睡眠不足になったら無理せずに整形外科でトリガーポイント注射を打ってもらうべきだと僕は考えます。特に、この犯人のようなトラック運転手には睡眠不足は禁物ですね。↓勿論腰痛の人は世の中に沢山します。だから、腰痛で失業が殺人の理由には決してなりません。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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