虐待を見つけたら児童相談所全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」によく考えてから電話しよう
埼玉県本庄市で起きた5歳男児虐待死事件では市内の飲食店の方が善意で「子どもが正座し、男性から強く説教を受けている。店に来る度に怒られている。」と市役所に何度も通報して下さったそうです。 しかし、千葉先生らの論文によると行政である保健所から派遣される保健師の業務は母の意向を尊重しながら虐待予防に向けた協働支援することであり、できることに限界があります(千葉栄子ら: 日本公衆衛生看護学会誌.9: 10-17,2020)
一方、池田先生の解説では行政の援助を拒む保護者からの長期分離のためには家庭裁判所の承認審判が必要であると書かれています(池田清貴: 公衆衛生 85:596-600,2021.)。大和市で起きた起7歳男児虐待死事件では、児童相談所は施設入所が適当と判断しましたが、母である容疑者の同意を得られなかったため、児童福祉法28条に基づいて家裁に申し立てましたが却下されました。しかし、今回の家庭裁判所の判断の甘さを批判する声もあり、今後改革される可能性が高いです。
では、われわれ一般市民にできることは何でしょうか?それは虐待かなと思ったら児童相談所全国共通ダイヤル「189(いちはやく)」に電話することだと僕は思います。なぜなら、2016年、児童福祉法が改正され、全国全ての児童相談所に弁護士を配置又はこれに準ずる措置を講じることができるようになったからです。ただし、児童相談所の方も忙しいのでよほど考えてから電話するようにしましょう。
論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
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