戸田整形外科リウマチ科クリニック

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虐待死の約70%-80%が見逃されている。頭部外傷は打撃所見のない硬膜下血腫が特徴

大阪府寝屋川市の住宅で2021年7月当時3歳だった豊岡琉聖翔(りせと)に暴行して死亡させた疑いが強まったとして、大阪府警は祖母の寺本由美容疑者(46歳)を傷害致死の疑いで逮捕しました。死亡直後に実施された司法解剖で死因は分かりませんでしたが、その後の捜査過程で琉聖翔ちゃんの頭部に損傷が確認され、外部から強い圧力を加えられた疑いがあることが判明したそうです。↓あまがざ先生の解説では虐待死の約70%-80%が見逃されており、頭部外傷は打撃所見のない硬膜下血腫が特徴だそうです(天笠俊介ら: 日本における虐待頭部外傷診療の問題点.日本救急医学会雑誌.31:112-119,2020.)。 一般的には孫はとてもかわいいので祖母が孫を虐待することは珍しいです。橋本先生達の調査では、虐待死の加害者が判明した35例の中で実母は20例,実父は8例でしたが祖母はたった1例(2.8%)でした。圧倒的に実母が多かったです。(橋本卓史ら:日本小児科学会雑誌 108:864-869,2004.)。 加藤先生達の調査では、児童虐待家庭は「両親型」「ひとり親型」「祖父母同居型」「内縁型」に分けることができ、「ひとり親型」と「祖父母同居型」の類型では,世帯の経済状況・就労状況の厳しさが虐待と関係していました(加藤洋子: 厚生の指標.62:35-41,2015.)。理由はともあれ、優しいはずのおばあちゃんにまで虐待されては子供がかわいそうだと僕は思います。 論文の解説 江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝