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- 五十肩説明
- 4本足で歩く動物では前足の重みは地面が支えています。でも、人間は2本足で歩くので腕の重さは肩の周りの靱帯が吊り下げています。しかし、40歳を過ぎる頃から肩の周りの靱帯が老化現象で固くなってきて、自分の腕を吊り下げているだけでも炎症が起こってきます(八幡徹太:進化による疾病(生活習慣病)の変化 ヒトの骨格構造の進化と運動器疾患、成人病と生活習慣病 12:1331-1335,2009)。これが四十肩や五十肩です。移動中の楽な姿勢は、肩関節が吊り下げている腕の重みを軽くしてやることです。まず、自動車を運転して移動する時は、シートを前にして、肘を締めて肘を体につけてハンドルを持ってください。肘を体につけると肩にかかる腕の重みが軽くなります。次に、新幹線で移動する時は、肘掛けや座席のテーブルに肘を置きましょう。肘を置く部分は弾力があり、円形の方が良いので、タオルを肘掛けや座席のテーブルの上に敷いた上に肘を置く方がなお良いです(周偉:VDT作業時の疲労防止におけるOAチェアの肘掛けの役割.疲労と休養の科学.14:85-93,1999)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
五十肩になった時の車の運転や列車に乗る時の楽な姿勢
- 説明
- 11月20日から23日までベトナムのダナン国立病院での医療ボランティアに参加してきました。私が医者になった頃の昭和の古い病院を思い出させるような病院でした。入院患者は2人で一つのベッドを使い、逆の方向に頭を向けて寝ていました。手術室の廊下には薄いタオルだけとかけられた患者が手術待ちの患者が誰も付き添わずストレッチャーの上に乗せられいました。その割には機械だけは各国の援助でとてもりっぱな機械がそろっていました。だから、医療よりも看護概念の方が遅れているように感じました。文責 江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
ベトナムでは医療よりも看護概念の発展が重要と感じました
- ホンマでっかネタ説明
- 足の爪を切るのって結構楽しいし、たまにしか切らないのでしっかり切っておこうと思う人も多いと思います。でも、巻き爪の多くの原因は深爪で起こってきます(高山かおる:Derma. 188:33-40,2012.02)。なぜなら、深爪をすると爪があった部分に皮膚が盛り上がってきます。そこに新しく生えてきた爪が成長してきますので、皮膚に爪が突き刺さる形になるからです。さらに、深爪の状態でつま先が細くなっている靴を履くと、両脇からの圧力が発生し巻き爪になりやすくなります(尼子雅敏:Derma. 184号:76-80,2011)。巻いた爪はさらに皮膚の奥へと伸びて、そこに黄色ブドウ球菌というバイ菌が繁殖してひょう疽という状態になります。ひょう疽の予防には爪の両側をテーピングで引っ張ってやる方法が有効ですが(図1)、痛くなったら必ず病院に行きましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
爪きりの時に深爪すると巻き爪やひょう疽になる
- ホンマでっかネタ説明
- 日本人はもともと草履や雪駄を履いていたので外反母趾の人は少なかったです。外反母趾の定義は、レントゲン写真で足の親指が曲がっている角度である外反母趾角が20°以上です。国内のある病院の調査では57人の外反母趾の患者さんに素足と鼻緒付き履物を履いた時にレントゲン撮影を行いました。その結果、素足の外反母趾角は22.1度でしたが、鼻緒付き履物装着時は平均3度減少しました(柴田義守ほか.日本足の外科学会雑誌.27:133-137,2006.)。海外での研究結果でも30人の外反母趾の患者さんを昼に鼻緒付きの履物を履く患者さんと夜寝る時に矯正装具をつけた患者さんに分け、調査を行いました。その結果、3ヶ月後の痛みの度合いは鼻緒付きの履物履いた患者さんでは、改善していましたが、夜に装具をつけた患者さんでは改善していませんでした(Tehraninasr A,et al Prosthet Orthot Int. 2008 ;32:79-83)。このように、外反母趾に鼻緒付きの履物が効くといっているのは日本人だけではなく、国際的に認められている事実なんです。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
草履や雪駄を履くと外反母趾が治る
- スポーツ説明
- スポーツ選手が怪我をしたままスポーツをするための重装備なサポーターが一般の人の膝の痛みにも効果があるという触れ込みで売られています。重装備なサポーターとはひざ関節内側および外側に蝶番《ちょうつがい》が付いた支柱で側副靱帯の機能を補強し横揺れを防ぐとともに、脛骨の前方から面テープで圧迫することによって十字靭帯を補強し前後方向の揺れを防ぐ機能がついたものです。 僕(戸田佳孝)はこの重装備サポーターと靭帯の補強機能のついていないシンプルなサポーターの効果を比較しました(戸田佳孝ほか:変形性膝関節症に対する装具療法. 特集:すぐに役立つ日常診療に対する私の工夫. MB Orthop 22: 256-262, 2009)。4週間の治療期間中に使用をやめてしまう人は、シンプルなサポーターを装着した31人中2人(6・5%)、重装備サポーターを着けた29人中12人(41・4%)でした。重装備サポーターを中止する理由は、「デザインが病人らしい」「装着するとかえって痛みが増す」「蒸し暑い」ということでした。治療効果はむしろシンプルな方がよかったです。このように、重装備なサポーターの欠点は①高価、②継続率が低い、③バランスが不安定になることです。つまり、一般的な膝の痛みにはスポーツ選手用のごちゃごちゃしたサポーターよりもシンプルなサポーターの方が優れています。文献の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝