ニュースNews
- スポーツ筋肉トレーニング説明
- 北京冬季オリンピックが開催されていますね。↓日本ではまだメジャーではありませんがリュージュという競技は、連続するカーブのあるコースを速い速度で滑りタイムを競うスポーツです。カーブに差し掛かった時にスピード が落ちるのをいかに少なくするかが重要であり、さらに遠心力による選手の姿勢の変化と、それに伴う“そり”の 横方向への流れを少なくすることが勝敗の鍵となります。前方をしっかり見るために頭は常に起こしたままです。僕は整形外科医としてリュージュでは頸椎にかかる負担が大きいだろうなと思っていました。 というのは、通常の頸椎は前に緩やかなカーブをしていますが、頭を前に傾き続けると椎間板にかかる負担がかかる負担が増え、それを守ろうとする首の周りの筋肉が疲労してしまいます。そこに遠心力が加わると頭を前に傾けるのが困難となると僕は思いました。 森先生の論文では、遠心力によって、頭を前に傾けることが困難になる「首とられ」が発生すると前方の確認が一時不能となる。その結果、コースからそれて転倒事故にもつながる危険性をはらんでいる。と書かれています アマチュアのスノボーやスキーでもカーブを曲がる時には首に遠心力がかかりますにで、首とられが起こる可能性があります。だから、ウィンタースポーツをする前には以前にアップした表紙がキリンの頭の動画で話した方法で首回りの筋肉をよく鍛えておきましょう。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
オリンピック競技のリュージュと同じく遠心力がかかる競技には首の筋トレが大事
- 筋肉トレーニング老化説明
- また、幼い子供が巻き込まれる高齢者による事故が起こってしまいました。福岡県久留米市で2022年2月14日、ラーメン店に車が突っ込み、0歳児と1歳児を含む客ら6人がケガをしました。車を運転していた70代の女性は「アクセルを踏みすぎた」と話しているということです。東京・池袋で2019年4月、当時87歳の高齢者が運転する乗用車が暴走し、母親と3歳の長女が死亡した事故は世間に衝撃をあたえました。池袋で暴走した高齢者は認知機能は正常でしょうが脚の運動機能は低下していたように僕には見えました しかし、農村部では運転しなければ生活が困難。問題は副作用を知らずに薬を飲んでいる高齢者が多いことです。Murakami-Nakayama先生達の調査では平均年齢72歳の170名の運転頻度は毎日が82.3%でした。運転免許所有者のうち68.4%は慢性疾患に対する薬を飲んでおり、最も多かった薬は眠気が出ることがあるので服用後運転が禁止されている高血圧の薬とうつ病の薬でした。↓つまり、全国一律に免許の制限年齢を決めることは難しいと思います((Murakami-Nakayama MasahiroSource: 医療薬学.46:205-210,2020.) 上出先生達の研究では高齢者18名でシミュレーターを用いてアクセル・ブレーキ操作の誤操作回数計測し、同時に椅子から立ち上がり歩いて帰ってきて座るまでの時間を計測しました。その結果、ブレーキとアクセルを踏み間違う高齢者は立ち上がって歩いて座るまでの時間が長かったです。つまり、高齢運転者の誤作動には認知症のみならず、運動機能の低下が関係していました。(上出直人ほか:理学療法科学.34: 777-781,2019)。だから、運転をなさる高齢者は以前の動画でお見せした椅子から素早く立ち上がる訓練などをして立つ歩く座る能力を鍛えましょう 論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
高齢者のブレーキの踏み間違い予防に素早く立つ歩く座る訓練をしよう
- スポーツ若い人の整形外科説明
- 北京で冬季の北京オリンピックが開催されています。今回も関西医療大学の増田教授にききました。日本人の感覚では『ズルをしてパフォーマンスレベルを上げる!』という例はほとんど無い様です。下びた表現ですが、恐らくは世界一になっても報奨金などの額が少ないと言うのが理由でしょう。2014年ソチオリンピックを例にとると金メダルの報奨金は日本がロシアの約1/4でした。 したがって、日本人選手のドーピングはほとんどがうっかりドーピングです。今年から副腎皮質ステロイド製剤の注射が一切認められなくなりました。有名な座薬に含まれているプレドニゾロンはアウトです。もちろん申請を行えば正当な治療行為は認められますが、何とも面倒な手続きが必要です。他にも個人的にご注意頂きたいのが緑内障や打撲による眼圧上昇に対する点眼薬です。何と1年ほども影響が残るそうです。 競技会でのドーピングコントロールでは手続後に90ccの尿を提出する必要があります。「よしいける!」と思って排尿したけれど90ccに満たない場合は後で足す事ができますからご安心下さい。でも以前はダメでした。私の知っている例では試合後12時間選手だけではなくスタッフも『缶詰め』になってしまったことがあります。今は水分をがぶ飲みして規定より比重の薄い尿を出してしまった方がやばいかも知れません。書類の記載や排尿から容器への注入・封印など全ての操作が自己責任となります。某国でスタッフが試合を観に行ってしまったのでしょうか?ドーピングコントロールステーションに選手と私の2人しか無くなってしまった時間帯がありました、ええ加減な話です。
ドーピングあるある
- スポーツ若い人の整形外科説明
- 北京オリンピックが行われていますが、平野歩夢選手の怒りのエネルギーからの金メダル、素晴しかったですね。↓スノーボードの事故で最も重傷なのは脳外傷です。それを防いでくれるのはヘルメットですが、浦辺先生達はスノーボーダーのヘルメット装着率を地域別に比較しました。北海道は76.9%、長野は29.0%、広島は19.8%と北海道で装着率が高かったです(浦辺幸夫ほか: JOSKAS 46:212-213,2021)。広島のスノーボーダーの皆さん、北海道を見習いましょう。 スノーボードの外傷で気をつけてもらいたいのが手の骨折です。Shiotani先生達の調査では手の骨の骨折はスキーによる怪我ではたった2.4%でしたが、スノーボードでは手首外傷は16.4%もあったそうです。特に手掌がボードの前方で地面に衝突した際に手首骨折が発生する可能性が高かったそうです(Shiotani Eiji, et al: The Showa University Journal of Medical Sciences.30:123-131,2018.) 尾崎先生らの調査では、スノーボードによる外傷では最近、鎖骨の骨折が増えていることを指摘されています(尾崎猛智ほか:JOSKAS.41:1079-1083,2016)。鎖骨骨折など体幹の骨折を防ぐためには神経・筋コントロール運動が良いです。このため、スノーボードの準備体操として雪の上で左右反対の手足を伸ばすバードドックを立ったままするのが良いと思います。 論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
スノーボードでは手首の骨折と鎖骨骨折の予防のためバードドックをしよう
- 若い人の整形外科説明
- 藤井聡太さんが新王将になりました。史上最年少19歳での5冠達成ですね。今までの将棋の名人が最初に獲った年齢とタイトルを手放した年齢を考えると中原誠さんが20歳から45歳、羽生善治さんが20歳から48歳、谷川浩司さんが21歳から42歳であり、一般的な職業より若くして頂点を過ぎるように思います。その理由を過去の論文から医学的に考えてみました。 ヒトの脳は深い部分から浅い部分に積み重なって進化してきました。だから、高度な思考は表面に近い大脳皮質で行われることが多いです。田中先生達は将棋のプロ棋士またはアマチュア高段者の脳活動を測定しました。その結果、プロ棋士では次の一手の直観的決定には大脳基底核が,攻めるか守るかの戦略の決定には帯状皮質が重要な働きをしていました。つまり、プロ棋士はアマチュアに比べて普通の人では原始的な行動で働く進化的に古い脳を使って将棋を打つことがわかりました。 高橋先生達は、顔から名前を思い出す検査を20歳代10人と60歳代11人に行ってもらい、その時の脳の活動を調べました。その結果、当たり前ですが60歳代は20歳代に比べて成績が悪かった。20歳代でも60歳代でも活動していた脳の部分は先ほどのプロ棋士が戦略を決定する時に使っていた帯状回などでした。そして帯状回は年齢の変化で血流が少なく老化しやすいです。つまり、顔から名前を思い出すような直感を大切にするプロ棋士の思考は年齢の変化を受けやすいと僕は考えます。しかし、藤井王将には長く5冠を保持してもらいたいと思っています。 論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝