貴晶会戸田リウマチ科クリニック

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スポーツでのけが予防には足の指をよく動かし、左手を使って、バランス訓練

スポーツ若い人の整形外科説明
ボールを使う多くのスポーツで重心移動がスムーズにできることは重要ですよね。サッカーのドリブル、ゴルフのスウィング、テニスのストロークなどなどです。加辺先生らは健常若年男性のしゃがみ・立ち上がり動作での足の指の動きを観察しました(加辺憲人ら:.理学療法科学17:199-204,2002)。 その結果、足の親指は傾いた重心を支える「支持作用」,その他の指は偏位から体重心を中心に戻す「中心戻す作用」がありました。このため、スポーツでの重心移動を上手く行うためには足の筋トレが良いと僕は考えます。 普段の生活が右利きでも野球では左投げ、左打ちにする野球選手がいます。たしかに左打席の方が一塁に近いですし、左打者の方が既に出塁している打者を進めるヒットを打ちやすいという利点があります。では、左投げについてはどうでしょうか?土屋先生らは右投げと左投げの野球選手の間で肩関節回旋可動域に違いがあるかを調べました(土屋篤志ほか:肩関節.41: 556-559,2017.)。その結果、水平屈曲(横ぶん回し)での痛みは右投げ投手の方が左投げ投手より明白に多かったです。つまり、右投げの方が左投げよりも関節の袋の後ろが固まりやすくなることが予測できました。 我が国のスノーボード人口は,この10年間で540万人から240万人へと約6割減少しましたが、スケートボードの競技人口は増えています。そのため、ボードによる骨折の種類も変わってきました。尾崎先生らの調査では、10年前は手首の骨折が一番多かったですが、最近は鎖骨の骨折が一番多かったです(尾崎猛智ほか:JOSKAS.41:1079-1083,2016)。つまり、手足の骨折から体幹の骨折に1位が変わりました。体幹の骨折を防ぐためには神経・筋コントロール運動が良いです。このため、準備体操として反対の手足を伸ばすバードドックを立ったままするのが良いと思います。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

捻挫予防には短い時間しかできない側の片足立ちを練習しよう

スポーツ若い人の整形外科説明
私が日頃整形外科の診察をしていると、捻挫で来られる患者さんは男性よりも女性が圧倒的に多いです。ほとんどの捻挫は足を内回しにした時に起こります。例えば、ハイヒールをはいて階段を下りる時に足を踏み外した時に足が内側にねじれた時に起こります。ある研究では健康な男子大学生25名(50脚)と女子大学生25名(50脚)の足首の動きを比較しました。その結果、足首の内回しと外回し動きは、男性に比べて女性で統計学的に明白に大きかったです(三谷保弘:理学療法科学.27: 665-670,2012)。つまり、足首の内返しの可動域が大きい女性では、捻挫を起こす肢位をとりやすいのではないかとこの論文では結論づけています。女性の皆さん、足首の捻挫に気をつけて下さいね。 スポーツ外傷全体の中で足関節捻挫は15%を占めており、最も多いです。国内のある大学の研究では、ハンドボール部とバスケットボール部の選手102人に目をつむって片足ずつで立ってもらい、その時の揺れの度合いを比べました(高橋竜平ほか:中部日本整形外科災害外科学会雑.54:1171-1172,2011)。その結果、捻挫をしたことのある人では、捻挫をしたことのない人に比べて、片足立ちでの揺れの度合いの左右差が大きかったそうです1)。つまり、じっと立っている時のバランス能力の左右差が足首の捻挫の原因になる可能性があります。だから、捻挫予防には短い時間しかできない側の片足立ちを練習しましょう。 体重が増えると、それを支えるためにふくらはぎの筋肉が大きくなってきます。しかし、靱帯(骨と骨とを結ぶ)は体重の増加にともなって強化されません。国内のある病院では、世界中から捻挫と肥満との関係について書いた論文を5つ検索して、総合的に判断しました(田中昌史ほか北海道千歳リハビリテーション科学.1:115-118,2015)。その結果、身長に対する体重の割合(BMI)が高くなると、足首を内側にねじって起こる捻挫を起こす確率が増えていました。最近、肥ったと思った人は捻挫に気を付けましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

四十肩も五十肩も同じ。年齢より少し若めに言っています

五十肩説明
人間は二本足で歩くので、腕の重みは肩の筋肉で吊り下げています。四十歳や五十歳を過ぎた頃から腕の重みを吊り下げている筋肉が痩せてきて、自分の腕を吊り下げているだけでも筋肉が炎症を起こします。これを四十肩、五十肩といいます。肘を曲げたまま背中に手を回すと炎症を起こしている肩峰下滑液包が圧迫されるので痛みを感じます。そんな症状には、ペットボトルなどの重りを持って、腕を振り子のように振り、手が後ろに回りやすくしましょう。それでも痛みが取れなければ、整形外科でヒアルロン酸の注射を打ってもらいましょう。 五十肩は「五十歳前後に起きる痛みを伴う肩の関節の動きにくい状態」です。しかし、医学的な定義は確立されておらず、その原因も様々です。年齢分布は50歳代が40%、60歳代が30%、40歳代が20%です(橋本淳:五十肩に対する保存的治療.プライマリーケアのための整形外科疼痛マニュアル.金原出版.東京.p235-240,2007)。つまり、四十肩の1.5倍の割合で六十肩があります。でも、六十肩という言葉を使わないのは、少し年齢より若く言った方が良いからだと思います。僕は60歳を過ぎた女性に六十肩と言わず「五十肩です」と告げ、50歳を過ぎたご婦人には四十肩と告げています。 熱かったり、臭かったりする荷物は体から遠ざけるように脇を開けて肘を曲げて持つことがあります。しかし、脇を開けると棘上筋という肩の後ろにある筋肉に負担がかかり、炎症が起き、その炎症が肩の関節の袋に波及した状態、つまり四十肩や五十肩になることがあります。だから、重い物を持つ時は脇をしめて肘を内側にしぼりこむようにして持ちましょう。こうすれば、大胸筋という胸の筋肉に負担が分散されます。ちなみに、大胸筋を鍛えるとバストもアップします。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

変形性膝関節症の前触れは靴底の外側だけでなく内側もすり減ること

変形性膝関節症説明
ゆりかごは少し力を加えるだけでユラユラをいつまでも揺れていますよね。ヒールがすり減った靴も端が反り返っていますので、歩いて入るときにゆりかごと同じ現象がおこります。小出先生達の研究では踵部分の摩耗の厚さが16.4mmの靴では、浮き上がった踵とゆりかごの反対側であたる爪先に持ち上がる力が働くため歩いている時に足を下に下げる底屈のタイミングが早まることがわかりました(小出彩友美ほか人間工学.52: 249-257,2016.)。つまり、踵のすり減った靴をはいていると足首や膝にも負担がかかると考えられます。 齋藤先生達は、若者39名および高齢者36 名が使用していた靴の摩耗を計測しました(齋藤誠二ほか靴の医学.20: 136-141,2006.)。その結果、高齢者は若者のように外側に偏ったすり減りではなく, 外側の摩耗と同時に内側も摩耗していました。その理由ですが、通常の歩行では踵が地面に着く瞬間に足が外側に開くスクリューホーム運動が起るので靴の外側がすり減りますが、 高齢者は加齢に伴う下肢筋力の低下および関節可動域の縮小により,スクリューホーム運動が弱くなり、すり足歩きになるからです。そして、滑って転倒しやすくなります。高齢者のご家族がいれば、足を高く挙げて歩くように注意してあげて下さい。 僕の研究では、58人の変形性膝関節症患者さんと同年代の44人のひざが痛くない人の靴底を比べてみました。その結果、健康な人でも靴の外側が鋭角に外側がすり減っていました。変形性ひざ関節症患者さんでは、内側もすり減って広範囲にすり減っており、足が上がっていない摺り足になっていると考えました(戸田佳孝,増田研一:片側型内反変形性膝関節症患者の靴底の摩耗特性について.整形外科,印刷中)。だからひざの痛む人は靴の内側がすり減ってくれば、靴を買い換えるべきだと考えます。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

腰痛に対するバードドックを簡単に行う方法は上半身をベッドに乗せる

筋肉トレーニング腰痛若い人の整形外科説明
最近は筋トレブームですが、筋肉むきむきの人でもひどい腰痛に悩まされることがあります。腰痛のためのコアトレーニングは脊柱安定化を目的として行われるのであって、日常生活に負けない筋力があれば十分です。また、多くの本で紹介されているコアトレーニングはお年寄にはキツ過ぎます。大江先生達は腰痛の病期、腰痛の程度、腰痛増悪動作に応じた最適なトレーニングを選択するべきだと述べています(大江厚ほか.:理学療法30: 988-998,2013)。コアトレーニングの代表であるサイドブリッジも高齢者や痛みが強い時期には膝を伸ばして肘で壁にもたれかかるだけでも良いと大江先生達は書いています。いきなり、強い筋トレに挑戦するから長続きしないのではないでしょうか? 1998年にマックギル先生が胴体の筋トレ(コア・エクササイズ)を発表しました(McGill SM: Phys Ther. 78:754-65,1998)。それ以来、腰痛患者さんにもバードドックと呼ばれる四つん這いになって左右反対の手と足を挙げる運動が流行しましたが、この運動は腰痛患者さんにはキツすぎます。そこで、村尾先生らは上半身をベッドに乗せて足を挙げるN-exを考案し、その運動では上半身の筋肉は働かず、腰痛を治すのに必要な筋肉(多裂筋)だけが鍛えられると発表しました(村尾昌信ほか.理学療法学.42: 114-118,2015)。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝