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- 変形性膝関節症説明
変形性ひざ関節症が進行してくると、ひざの横揺れや前後方向の揺れを防ぐ靭帯がゆるんできます。こういう状態になると、歩くときに大腿骨に対する脛骨の回転の仕方がおかしくなります。そのため、平坦な道を歩いているのに、突然、ひざが「ガクッ」と曲がり、姿勢を保つのが難しくなります。ひどいときには転倒して骨折することがあります。僕の調査では100人の変形性ひざ関節症の患者さんに「ひざくずれを起こしたことがありますか?」という質問と「転倒して骨折を起こしたことがありますか?」という2つの質問をしました。その結果、ひざくずれの経験のある35人の中で、転倒骨折の経験のある人は12人(34%)でしたが、ひざくずれの経験がない65人の中ではわずか2人(3%)でした。つまり、ひざくずれは骨折のもとです(戸田佳孝ほか:変形性膝関節症患者の膝くずれ症状 整・災外 52:311-315, 2009)。 ひざくずれを何回も起こすようになった患者さんには、骨折を防ぐために人工関節置換術などの手術を受けることをすすめます。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
変形性ひざ関節症の人:何度も転倒する時は人工関節の手術をした方が良い
- 変形性膝関節症説明
僕は、椅子からの立ち上がり動作で痛みと66人の変形性ひざ関節症の患者さんの中で、33人には足を内またにして壁の隅にもたれながら行うスクワット運動を指導し、33人にはこの運動を指導せずに、治療成績を比較しました。すべての患者さんには共通療法として1週毎にヒアルロン酸を5回関節内に注射しました。その結果、椅子からの立ち上り時の痛みは、スクワットを指導した33人の中で治療後は21人(63.6%)で改善しました。スクワットを指導しなかった33人中13人(39.4%)でしか改善しませんでした。この改善率はスクワットを指導した人の指導しなかった人より統計学的に明白に優れていました。その理由は、スクワット姿勢から立ち上がる動作が椅子から立ち上がる動作と共通しているため筋力強化によって痛みが和らいだ可能性が高いです(戸田佳孝、寺林有美子:起立時疼痛を感じる変形性膝関節症患者に対するスクワット運動の効果、整形・災害外科.59:329-333,2016)論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
a) 椅子から立ち上がる時に膝が痛む人には、壁にもたれかかって行うスクワット訓練が良い
- 腰痛説明
慢性の腰痛の患者さんに時々「先生、ずーとコルセットをしていると腰の筋肉が怠けて、コルセットなしでは立てなくなるって言われたんですが、本当ですか?」と聞かれることがあります。Sato先生らは、3ヶ月以上続く慢性の腰痛の患者さん40人をコルセットを装着する人と装着しない人の2つのグループに半分ずつ分け、6ヶ月間の背筋の筋力の変化を比較しました(Sato N, et al: J Med Sci. 58:60-65,2012)。その結果、背筋の筋力低下は6ヵ月間のコルセット装着では起こってきませんでした。だから、慢性の腰痛の人は安心してコルセットを着け続けて下さい。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
コルセットを長い間着けていると背筋が弱くなるは嘘
- 変形性膝関節症説明
冬に膝が痛くなりやすいのでは、雪や雨で低気圧になる日が多いことも関係します。アメリカのマクアリンドン先生ら全国にちらばっている200人の変形性膝関節症の患者さんの毎日の痛みとその地方の天気との関連性を調べましたMcAlindon T,et al.: Am J Med. 120:429-34,2007).。その結果、膝の痛みと最も関係が深かったのは、気圧の変化でした。正常の関節内圧は大気圧よりやや低く設定されています。関節内圧が大気圧と同じになった場合には、股関節は牽引しなければ、8mm脱臼すると言われています。関節内圧を高めるためには膝の振り子運動が良いと発表しています。だから、低気圧が近づいてきて、膝が痛くなってきたら、机に腰掛け、膝の振り子運動をしましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
低気圧が近づけば、膝の振り子運動をしよう
- 変形性膝関節症説明
ひざを伸ばす筋力を測るのには、トイレットペーパーの芯にスプレー缶を入れてつぶれないようにして、それを家庭用体重計の上に乗せます。膝の裏でトイレットペーパーを下に思いっきり押しつけた時の目盛りが最大筋力です。僕の研究では、家庭用体重計で計測したひざを伸ばす最大筋力の80%の力で運動するように指導した26人の変形性膝関節症患者さんとその運動を指導しなかった25人の患者さんとの間で日常生活動作の改善度を比較しました。運動を指導した人では、指導をしなかった人に比べて、夜中に寝ている時の膝の痛みを訴える患者の割合が統計学的に明白に減りました。なぜなら、寝床でひざが痛くなるのは、ひざが伸びにくくなって曲がったまま固まろうとしているからです。この現象を改善するためには、膝を伸ばす訓練をしましょう(戸田佳孝、月村規子:家庭用体重計を用いた膝伸展トレーニングによって改善する変形性膝関節症の日常生活動作.整・災外57:1761-1766,2014)論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝