戸田整形外科リウマチ科クリニック

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カービングスキーで小回りが効くようになったが、前十字靱帯損傷が増えた

スポーツ若い人の整形外科説明
ダウンヒル、スーパーG、ジャイアントスラローム、アルペンコンバインドなど北京オリンピックでもアルペンスキーはやっぱり「冬季オリンピックの花形種目」ですね。 最近のアルペンスキー競技ではカービングスキーが用いられています。カービングスキーは,スキーエッヂのサイドカーブにより雪面に対して傾けると簡単に曲がる構造をしています。このため切れのある弧の小さなターンが行えるため、スピードを殺さずに無駄のない合理的な回転ができるという利点があります。しかし欠点はアイスバーンで板の後ろが流れて不安定になりやすい点です。 佐藤先生達の調査ではアルペンスキー競技で前十字靱帯を損傷した17例中9例(53%)が、slip-catchというカービングスキーで起り易い動きで靱帯を損傷していました。スリップキャッチの動きをスキー板なしで説明すると、カービングはアイスバーンの時に板の後ろが流れて不安定になりやすい。斜面の下側の足で踏ん張ろうと膝を伸ばす。その反動で斜面下側の膝が伸びてX脚になり、内側に回る。その態勢のまま後ろに転倒すると前十字靱帯が断裂しやすいのです。 つまり、よく滑る板はスリップもしやすく。怪我もしやすい。整形外科医としては安全生に対する改良が進むことを期待しています。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

選手村の食事事情

スポーツ若い人の整形外科説明
北京オリンピックも始まりましたが、選手村は『完全バブル方式』で管理されて大変みたいですね。食堂は新型コロナ対策のため、ロボットが給仕し、席はアクリル板で区切られているようで、寂しいですね。今回も関西医療大学の増田先生に教えてもらいました 昔々私が選手村に入った経験から申しますと、 今日はこのレーンに並ぶとこんなメニューが…という掲示がされています。今は減量を要する競技やベジタリアン、さらには宗教などでもっと細かく分かれていると思います。慣れてくると「お!あのレーンはたくさん並んでいるから美味しいのか?」などと見当がついてきます。はずれもありましたが…。サッカーは試合と試合のインターバルがありますから、開会式前から試合(予選リーグ)が始まって、閉会式直前に決勝戦が行われます。ですので、選手村に入るのが『一番最初』となる場合が多いです。↓となると(開催国によっては)入村したての頃は選手村食堂のメニューが非常に非常に貧相で「大丈夫か?これ…」と心配になる時もありました。北京はそんな事ないでしょうが。 さて、単独チームの遠征ですとスポーツセンター内の宿泊施設を利用する例が多いですが、私の経験では英国、フランス、ドイツ、オランダ、イタリア、トルコなどどの国もはずれはありませんでした。意外とイングランドも良かったです。それでも『史上最強』はやっぱりイタリアですかね。写真は地中海沿岸のリゾートホテルですが、ユニバーシアード大会の選手村として使われました。朝食こそバイキング方式でしたが、昼食・夕食はコースでして、『動かない』私が太ったのは言うまでもありません。ワインも常にありました。↓ちなみにカテゴリーによってはシェフが帯同するのも普通になりましたが、主催国としてはおもてなしを楽しんでもらいたいという気持ちもありますね

オリンピック競技のリュージュと同じく遠心力がかかる競技には首の筋トレが大事

スポーツ筋肉トレーニング説明
北京冬季オリンピックが開催されていますね。↓日本ではまだメジャーではありませんがリュージュという競技は、連続するカーブのあるコースを速い速度で滑りタイムを競うスポーツです。カーブに差し掛かった時にスピード が落ちるのをいかに少なくするかが重要であり、さらに遠心力による選手の姿勢の変化と、それに伴う“そり”の 横方向への流れを少なくすることが勝敗の鍵となります。前方をしっかり見るために頭は常に起こしたままです。僕は整形外科医としてリュージュでは頸椎にかかる負担が大きいだろうなと思っていました。 というのは、通常の頸椎は前に緩やかなカーブをしていますが、頭を前に傾き続けると椎間板にかかる負担がかかる負担が増え、それを守ろうとする首の周りの筋肉が疲労してしまいます。そこに遠心力が加わると頭を前に傾けるのが困難となると僕は思いました。 森先生の論文では、遠心力によって、頭を前に傾けることが困難になる「首とられ」が発生すると前方の確認が一時不能となる。その結果、コースからそれて転倒事故にもつながる危険性をはらんでいる。と書かれています アマチュアのスノボーやスキーでもカーブを曲がる時には首に遠心力がかかりますにで、首とられが起こる可能性があります。だから、ウィンタースポーツをする前には以前にアップした表紙がキリンの頭の動画で話した方法で首回りの筋肉をよく鍛えておきましょう。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

高齢者のブレーキの踏み間違い予防に素早く立つ歩く座る訓練をしよう

筋肉トレーニング老化説明
また、幼い子供が巻き込まれる高齢者による事故が起こってしまいました。福岡県久留米市で2022年2月14日、ラーメン店に車が突っ込み、0歳児と1歳児を含む客ら6人がケガをしました。車を運転していた70代の女性は「アクセルを踏みすぎた」と話しているということです。東京・池袋で2019年4月、当時87歳の高齢者が運転する乗用車が暴走し、母親と3歳の長女が死亡した事故は世間に衝撃をあたえました。池袋で暴走した高齢者は認知機能は正常でしょうが脚の運動機能は低下していたように僕には見えました しかし、農村部では運転しなければ生活が困難。問題は副作用を知らずに薬を飲んでいる高齢者が多いことです。Murakami-Nakayama先生達の調査では平均年齢72歳の170名の運転頻度は毎日が82.3%でした。運転免許所有者のうち68.4%は慢性疾患に対する薬を飲んでおり、最も多かった薬は眠気が出ることがあるので服用後運転が禁止されている高血圧の薬とうつ病の薬でした。↓つまり、全国一律に免許の制限年齢を決めることは難しいと思います((Murakami-Nakayama MasahiroSource: 医療薬学.46:205-210,2020.) 上出先生達の研究では高齢者18名でシミュレーターを用いてアクセル・ブレーキ操作の誤操作回数計測し、同時に椅子から立ち上がり歩いて帰ってきて座るまでの時間を計測しました。その結果、ブレーキとアクセルを踏み間違う高齢者は立ち上がって歩いて座るまでの時間が長かったです。つまり、高齢運転者の誤作動には認知症のみならず、運動機能の低下が関係していました。(上出直人ほか:理学療法科学.34: 777-781,2019)。だから、運転をなさる高齢者は以前の動画でお見せした椅子から素早く立ち上がる訓練などをして立つ歩く座る能力を鍛えましょう 論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

ドーピングあるある

スポーツ若い人の整形外科説明
  北京で冬季の北京オリンピックが開催されています。今回も関西医療大学の増田教授にききました。日本人の感覚では『ズルをしてパフォーマンスレベルを上げる!』という例はほとんど無い様です。下びた表現ですが、恐らくは世界一になっても報奨金などの額が少ないと言うのが理由でしょう。2014年ソチオリンピックを例にとると金メダルの報奨金は日本がロシアの約1/4でした。 したがって、日本人選手のドーピングはほとんどがうっかりドーピングです。今年から副腎皮質ステロイド製剤の注射が一切認められなくなりました。有名な座薬に含まれているプレドニゾロンはアウトです。もちろん申請を行えば正当な治療行為は認められますが、何とも面倒な手続きが必要です。他にも個人的にご注意頂きたいのが緑内障や打撲による眼圧上昇に対する点眼薬です。何と1年ほども影響が残るそうです。 競技会でのドーピングコントロールでは手続後に90ccの尿を提出する必要があります。「よしいける!」と思って排尿したけれど90ccに満たない場合は後で足す事ができますからご安心下さい。でも以前はダメでした。私の知っている例では試合後12時間選手だけではなくスタッフも『缶詰め』になってしまったことがあります。今は水分をがぶ飲みして規定より比重の薄い尿を出してしまった方がやばいかも知れません。書類の記載や排尿から容器への注入・封印など全ての操作が自己責任となります。某国でスタッフが試合を観に行ってしまったのでしょうか?ドーピングコントロールステーションに選手と私の2人しか無くなってしまった時間帯がありました、ええ加減な話です。