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- 変形性膝関節症
- ステロイドと聞くと「顔が丸くなる」、「ばい菌が入り易くなる」など副作用がこわいというイメージがある薬ですね。でも、それは飲むステロイドの話であって、飲むから全身に回っていろいろな副作用がでますが、注射の場合はその部分にしか回りにくいので、副作用は少ないです。欧米では膝の痛みに「ヒアルロン酸は効果はない」という考えが一般的です。ヒアルロン酸注射は日本の製薬会社が初めて造ったので、日本では重宝されていますが、本当に効いているのか僕は疑問です。Matzkin博士の研究では1度のステロイド関節内注射と運動療法によって痛みが注射前に比べて注射後6ヶ月間有意に改善し続けていました(Matzkin EG, et al: J Am Acad Orthop Surg. 25:703-714,2017)。しかし、超肥満(BMI30以上)でかつ骨の破壊が進行した患者さんでは、注射後3週間以降は痛み悪化していました。だから、普通の体格の人はここぞという時には怖がらずにステロイド関節な注射を打っても良いと考えます。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
超肥満ではない人の膝の痛みには半年に一度のステロイド注射は安全で有効
- 変形性膝関節症説明
- 今から24年も前に山内先生は、米国のSarmiento先生の文章を次のように訳しておられます(山内裕雄:整・災外36.1161-1164,1993)今後の整形外科の大きな問題点の一つに人工関節を販売する業者と整形外科医の癒着があります。日本では製薬会社の医師に対する接待は厳しくなってきましたが、人工関節販売業者には規制はまだ緩いです。業者が後援する研修会では、その会社の人工関節を宣伝してくれる講師を選ぶように圧力をかけてくることがよくあります。業者が推薦した医師の講演では、その製品による失敗例や合併症については過小評価され、あまり多く話しません。人工関節は時々、モデルチェンジしますが、その改良には科学的実験結果に基づくものではなく、他社の製品の良いところを真似したに過ぎないことが多いです。整形外科医は人工関節の販売は石鹸やコーンフレークの販売と同じであってはいけない。医療が他の商業活動と異なるのは倫理的基盤が重要であることを忘れてはいけません。24年たった今、その傾向は益々強くなっているように僕が感じます。江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
人工関節の業者の医者に対する過剰なサービスが問題
- 変形性膝関節症説明
- Sarmiento(サルミエント)先生(南カリフォルニア大学元教授)は、今から17年前の2000年の日本整形外科学会総会で「整形外科学の将来に関する考察」という題名の講演をされました(Sarmiento A:J Orthop Sci 5:425-430,2000)。人工関節置換術やペディクルスクリューを使った手術ではテレビなどで多く紹介された「神の手を持つ」と呼ばれている一握りの整形外科医が沢山の手術を行っています。手術の後も含めて的確な治療ができでこそ「神の手」になるはずなのに、彼らは術後の看病は部下の医者に任せっきりです。神の手を持った医者は自分の手術がどんなに素晴らしいか示すために手術の成績を論文にしますが、その成績は直接診察した成績ではなく、多くはアンケートによる調査です。人工関節置換術やペディクルスクリューはマニュアル通りすれば、誰がやっても同じ結果になるはずです….17年後の日本でも同じことが起きていると僕は思います。(論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝)
17年前のアメリカと同じ。「神の手」の欠点
- 変形性膝関節症説明
- グルコサミンとかコンドロイチンとかヒアルロン酸とか….関節痛に効くという健康食品が沢山宣伝されています。新聞やテレビは健康食品の会社からコマーシャル料をもらっているので不利な情報は流しません。Runhaar先生らは世界中のグルコサミンに関する優秀な論文を厳選して、「グルコサミンが効く人に特徴はあるのか?」という研究をしました。その結果、治療前の痛みの強さ、肥満度、男女の割合、変形の度合いおよび炎症の度合いのいかなる段階においてグルコサミンがその結果を変えることはなかったと報告しています(Runhaar J,et al:Ann Rheum Dis. 2017-211149)さらに、「非盲検試験(被験者がどの治療群に割付けられたか、医師、被験者、スタッフにわかっている試験法)は膝の痛みに対するグルコサミンの試験としては、特に製造会社がスポンサーとなっている時は利用価値がない。」と述べています。つまり、何を飲ましているかがわかっているのが問題だという考えです。何を飲んでいるか知っていると、つい良い方に解釈してしまうのが人情ですからね。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
グルコサミンが効くという論文は審査員が何を飲ましているか知っているから?
- 変形性膝関節症説明
- 年齢の変化で軟骨がすり減ってくる変形性ひざ関節症の患者さんは全国に3千万人以上(日本人の4人に1人)いるという調査結果があります。変形性ひざ関節症には一般的にヒアルロン酸の関節内注射を打つ医師が多いですが、下手な医師は時々関節の外に漏らすことがあり、そうするととても痛いです。イランのイマーム・ホセイン大学では、ヒアルロン酸よりもずーと安価で漏れても痛くないブドウ糖を筋肉に打つ方法を考えました(Rezasoltani Z,et al. J Pain Res. 17;10:1179-1187,2017.)。52人の患者さんに20%のブドウ糖5mlと5mlの麻酔薬を混ぜた液を膝の周りの筋肉4箇所に1週間毎に3回打ったところ、関節内に打った患者さんより治りが良かったそうです。高濃度(濃い)ブドウ糖(砂糖)の液にはダメージを受けた部分を治す作用があるそうです。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝