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- 変形性膝関節症説明
香港理工大学のチェン博士は60歳以上の102人の変形性ひざ関節症にヒアルロン酸注射を打ち、その効果を減少させる要因について検討しました。その結果、強いひざの痛みとうつ状態が自分で評価した膝の機能改善に最も悪い影響を与えていました。つまり、痛みの強い時や気分が落ち込んでいる時にヒアルロン酸注射は逆効果であると考えられます。(Chen YP,et al. J Orthop Surg Res. 2019 27;14:387)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
鬱の時にヒアルロン酸を打っても変形性ひざ関節症の機能が悪くなるだけ
- 変形性膝関節症説明
ワシントン大学のデイビス博士は変形性ひざ関節症患者さんを4年以内にレントゲン写真で重症になった92人の急行進行グループと8年経過しても少ししか進行しなかった380人の普通進行グループと8年経過しても全く進行しなかった875人の無進行グループに分けました。その結果、関節鏡検査を受けた割合は急行進行グループでは32%、普通進行グループでは8%、無進行グループでは0%であり、飲み薬を処方されていた割合は急行進行グループでは61%、普通進行グループでは43%、無進行グループでは41%でした。また急行進行グループでは定期の処方以外にも臨時で処方をしてもらう頻度が高かったです。以上の結果から彼らは急速に進行する変形性ひざ関節症患者は、より多額の医療費を浪費しているにもかかわらずいろいろな治療を試してみる重要な患者集団であると述べています。(Davis JE,et.al. ACR Open Rheumatol. 2019 1:359-364)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
沢山の治療を試している人の方がかえって変形性ひざ関節症が進行する。
- 五十肩説明
五十肩は英語でfrozen shoulderといいます。フローズンヨーグルトと一緒で直訳すれば冷凍肩です。五十肩はすぐに治る人もいれば1年たっても治らない人もいます。その原因は痛いから動かさない、動かさないか癒着する、癒着するから動かすと痛いという悪循環が起こるからです。薬や体操で効かない場合は関節鏡で手術をする方法と麻酔をかけて大きく動かして癒着を剥がしてもらう方法(マニピュレーション)があります。横矢先生達の調査では、マニピュレーションの方が肩が動く範囲(可動域)は大きくなり、関節鏡の方が痛みはとれたそうです(横矢晋ほか:別冊整形外科76:66-70,2019)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
五十肩は英語で「冷凍肩」。ひどくなれば、麻酔をかけて動かしてもらおう
- スポーツ説明
増田先生は、16~17歳の男性フットサル選手32人の軸脚に.踵部から第1~第4趾の間に向けて38mm 伸縮テープに4等分の「切れ目」を入れ,足裏から足の背に向け親指から人差し指をアンカーに,同様に薬指から小指をアンカーに,および人差し指と中指の間から足の背で止めるようなテーピングを行い、その効果をすぐに測りました。その結果、足趾筋力の平均値はテーピング施行前が25.7士5.6kgであったのに対し,テーピング施行後は33.4士6.3 kgに増加しました。一方,目をつむって片脚で立てる時間はテーピング施行前が61.7士44.8秒であったのに対し,テーピング施行後は 87.8士50.5秒に増加しました。しかし、個人差が大きく皆に効くとは言えませんでした(増田研一:別冊整形外科76:37-40,2019)。だから、テーピングをしてすぐに効果が実感できないならすぐにはずしてしまった方が得策だと僕は思います。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
テーピングはすぐに効かないならすぐ剥がそう
- 老化説明
遠位指節間(DIP)関節の変形性関節症をヘバーデン結節といいます。40歳以上においては86 %でいすれかの指にヘバーデン結節があることが報告されています。ヘバーデン結節専用のテープが販売されているが, 上原先生は、安価なテープを指に3~4周巻くよう指導しており,水仕事で濡れたら捨てて冉度巻き直すなとしてもらっている。 1 ~2週の装着で60 %以上の患者で疼痛が軽減し, 40 %の患者でVASによる評価で疼痛が5割未満となると書いておられます(上原浩介:別冊整形外科76:71-75,2019)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝