貴晶会戸田リウマチ科クリニック

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ニュースNews

節電が必要な猛暑の熱中症対策

スポーツ説明
今回も関西医療大学の増田教授に教えてもらいました。6月26日、群馬県伊勢崎市では6月では観測史上初の気温40度を超えたそうです。7月・8月は一体どうなんるんでしょうか…。徐々に体育・スポーツ活動も再開されつつあります、熱中症案件も結構数報告されていますね。今回はスポーツ現場で行われている比較的新しい暑熱環境対策方法を3つご紹介致します。 まずは手掌冷却です。手のひら・手指は動脈と静脈が吻合しており、体積あたりの血液量が多く体表面積も大きく、毛細血管の密度も高いそうで、体温冷却の効果が現れやすいらしいです。痛さを感じない13-15度の水でOKらしいです。握るタイプのデバイスもあるみたいです。 続いてはアイススラリーです。暑熱環境対策で水分摂取が最重要ポイントなのはご承知と思います。氷が浮いた5度前後が好ましいとされてきました。最近注目されているのがアイススラリーです。シャリシャリの柔らかいシャーベットみたいなイメージですかね。冷却効果が高いそうです。 パッケージされている製品も色々市販されていますが、近年充電式・携帯のジューサーミキサーがありますから、水筒に氷を準備してスポーツ現場で好みのものを作成するのも有りかも知れません。 最後は空調服です。暑熱対策用のインナーウエアも色々ありますが、これは充電式のファンが腰部に装着されていまして、首筋に向けて風が通過して汗を効率よく蒸発させるらしいです。私が着用した実感では…ただただ凄いの一言です。最近肉体労働をなさる方のショップがアウトドア様の洒落たデザインで大人気ですが、売り切れて手に入りません。スポーツメーカーとコラボして下さいませんかね?  

腰痛の時にコルセットを着けないと膝まで悪くなる

腰痛
英語で腰痛のことをウィチッズブロウ、魔女の一撃といいます。ほうきで一撃されると膝を曲げて歩くから膝にかかる負担が大きくなります。ケンタッキー州Louisville大学の研究では、手術をするほど重症の変形性ひざ関節症患者さん42人の中で31人(74%)もの人が腰痛もあると答えました。さらに、変形性ひざ関節症と腰痛のある31人の中で30人が腰痛が出現してから膝の痛みがより激しくなったと答えました。なぜならば、変形性ひざ関節症になると膝を曲げて歩くためにその姿勢を支えるために、腰に負担がかかるからです。だから、ぎっくり腰がよく起る人は変形性ひざ関節症は早い段階で治療しなければ、歩けなくなり寝たきりの原因となります。 辻先生らは、199人の立った状態での下半身のレントゲン写真を撮影して、骨盤が前に傾いている度合いと膝の伸びにくさとの関係を調べました。その結果、腰痛のある人では立っている時に膝が曲がっており、膝も痛い人が多かったです(Tsuji T, et al: J Orthop Sci. 7:519-23,2002)。なぜなら、骨盤が前に傾いた猫背姿勢で歩いていると膝を曲げて歩行しないとバランスがとれないからです。こんな状態を膝―背骨症候群(knee-spine syndrome)と呼びます。だから、腰痛の時でもコルセットを装着して背筋を伸ばして歩行しなければ、膝まで痛くなってきます。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝

珍しい病気?ガワワン症

若い人の整形外科説明
ご本人の許可を得てホームページに掲載しています。腰痛で来られた患者さんが診察後質問されました。「今日は有り難うございました。ところでうちの15歳の息子がガワワン症と言われたのですが、先生のところで診ていただけませんか?」   僕:「Gawerwan症候群…ガワー先生とワン(王)先生が発見して病気ですかね。僕にはわかりません」   すると、横から看護師が「それ、側弯症じゃないですか?」   「あの字『そくわんしょう』って読むんですか?窓側の『がわ』と思いました」という会話がありました。僕は↓「整形外科ってやっぱりマイナーだなあ」と思いました。 解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝  

溺れないための水泳授業にはジェンダーフリー水着は持ってこい

スポーツ若い人の整形外科説明
今回も関西医療大学の増田教授に教えてもらいました。ようやくようやくコロナ禍が鎮静化の兆しを見せ始め、学校体育・課外活動も『対面式』の割合が増えてきました。これからの時期、水泳も行われる機会が増えそうです。 さて、運動やスポーツに限りませんが、様々な『現場』でジェンダー問題が取り上げられる事も増えています。「男女が同じプールに入るのはちょっと…」という拒否反応もありますね。 そこでシャツとパンツの様な『ジェンダーフリー』水着が開発されたそうです。う〜ん…、泳ぎにくそう…。 しかし、学校体育における水泳の授業の一つの目的が溺水回避と考えれば、ある意味理にかなっているのかも知れません。私個人の経験でも衣服を着用したまま2時間連続泳ぐ…という授業の経験があります。 水着も一時高速水着が大流行しました。一気に見なくなりましたが…。↓ 現在の競技用水着はこんな感じみたいです。 私が別に懸念しているのが、飛び込みの際の頚椎・頚髄損傷です。ラグビーやアメリカンフットボールのタックルも同じ理屈なんですが、「顎を引きすぎて」プールの底に頭部を打ち付ける受傷機転です。健康な若年者が一気に完全麻痺に至るリスクもあります。皆様、くれぐれもご注意下さい。

足首が大事!良く動かし、温めていると、怪我や立ちくらみになりにくい。

筋肉トレーニング老化若い人の整形外科説明
ストレッチでは筋力はつきませんが、筋肉を伸びやすくします。谷口先生達の8人の若者に足首を体側に持ち上げる(背屈)運動をしてもらいました。その結果、ふくらはぎの筋肉(腓腹筋)の筋肉の厚さが増え、アキレス腱の伸び率が増加しました(谷口圭吾ほか健康医科学研究助成論文集 22: 70-78,2007.)。アキレス腱が柔軟になると転倒しにくくなります。だから、↓足首をストレッチすることによってアキレス腱が柔らかくなり、運動中の怪我が減ると僕は考えます。 足浴は気持ちが良いだけではなく、転倒を予防する効果があるようです。本多先生達は高齢者に週2回足浴しながら、足首の運動を行ってもらう期間と、その効果を洗い流す期間と、何もしない期間に分けて、足関節背屈角度を計測しました。その結果足浴と運動を行っていた期間は何もしていなかった期間に比べて、足関節背屈角度が明白に増加していました(本多容子,ほか.Health and Behavior Sciences.14:85-92,2016)。↓足関節背屈角度が低下すると転倒しやすくなります。このため、足浴は高齢者の転倒骨折を予防する効果があると考えられます。 立ちくらみは高齢者では転倒骨折の原因ともなり、危ない症状です。秋葉先生らは男性8人に5分間普通に座ってもらった後、1分間の足首を背屈(足首を立てる動作)を行い、再び5分間普通に座って座ってもらい、血圧を測りました(秋葉崇:理学療法科学.32: 695-699,2017.)。その結果、足関節底背屈運動は起立直後の血圧低下を防いでいました。なぜなら、足首を立てるだけで足の血液が心臓に返り、脳に行く血液が増えるからだと考えます。だから、↓立ちくらみする人は立ち上がりや起き上がる前に足首を1分間だけ立てるようにしましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝