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- 変形性膝関節症説明
- 僕が診察をしていると若い人が「私は昔からO脚なんですけど、将来、ひざが痛くなりますか?」と聞かれることが時々あります。そういう若い人のO脚は股関節が開いていて、内ももの筋肉が開いた状態です。Victor博士らは248人の健康な若者と532人の変形性ひざ関節症の患者さんの股関節から足関節までの長いレントゲン写真を撮影して検査をしました(Victor JM, et al. Clin Orthop Relat Res. 472:98-104,2014)。その結果、変形性ひざ関節症患者さんのO脚はひざから下の骨が床に対して外側に傾いていましたが、若い人のO脚は大腿骨が傾いていました。だから、若い頃のO脚は医学的には気にする必要はないし、内ももの筋肉を付ければ、見た目のO脚は治ります。江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
若い頃からのO脚が原因で関節炎は起こらない。
- 著書
- 世の中に僕より優れた研究している医師は沢山いますが、研究成果を世間の皆様にわかるような文章で本にしている医師は少ないと思います。と自負しています。 5作目目発売。 11月20日に2015年~2017年の3年間に論文発表した内容を中心に一般の方にわかりやすくまとめた「10秒の痛みとりポーズでひざ痛・腰痛はみるみる消せる」をPHP研究所から発売します。この本は5作目です。主に生活協同組合(COOP)を通じて販売しますが、PHP研究所のホムページからも購入できます。URLは https://www.php.co.jp/family/detail.php?id=83943 です。 11月20日以降、検索に「10秒の痛みとりポーズ」と入力下さい。是非、御購読下さい。 江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
自分の研究成果をわかりやすい本にしている医師は少ない
- 変形性膝関節症
- ステロイドと聞くと「顔が丸くなる」、「ばい菌が入り易くなる」など副作用がこわいというイメージがある薬ですね。でも、それは飲むステロイドの話であって、飲むから全身に回っていろいろな副作用がでますが、注射の場合はその部分にしか回りにくいので、副作用は少ないです。欧米では膝の痛みに「ヒアルロン酸は効果はない」という考えが一般的です。ヒアルロン酸注射は日本の製薬会社が初めて造ったので、日本では重宝されていますが、本当に効いているのか僕は疑問です。Matzkin博士の研究では1度のステロイド関節内注射と運動療法によって痛みが注射前に比べて注射後6ヶ月間有意に改善し続けていました(Matzkin EG, et al: J Am Acad Orthop Surg. 25:703-714,2017)。しかし、超肥満(BMI30以上)でかつ骨の破壊が進行した患者さんでは、注射後3週間以降は痛み悪化していました。だから、普通の体格の人はここぞという時には怖がらずにステロイド関節な注射を打っても良いと考えます。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
超肥満ではない人の膝の痛みには半年に一度のステロイド注射は安全で有効
- 変形性膝関節症説明
- 今から24年も前に山内先生は、米国のSarmiento先生の文章を次のように訳しておられます(山内裕雄:整・災外36.1161-1164,1993)今後の整形外科の大きな問題点の一つに人工関節を販売する業者と整形外科医の癒着があります。日本では製薬会社の医師に対する接待は厳しくなってきましたが、人工関節販売業者には規制はまだ緩いです。業者が後援する研修会では、その会社の人工関節を宣伝してくれる講師を選ぶように圧力をかけてくることがよくあります。業者が推薦した医師の講演では、その製品による失敗例や合併症については過小評価され、あまり多く話しません。人工関節は時々、モデルチェンジしますが、その改良には科学的実験結果に基づくものではなく、他社の製品の良いところを真似したに過ぎないことが多いです。整形外科医は人工関節の販売は石鹸やコーンフレークの販売と同じであってはいけない。医療が他の商業活動と異なるのは倫理的基盤が重要であることを忘れてはいけません。24年たった今、その傾向は益々強くなっているように僕が感じます。江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
人工関節の業者の医者に対する過剰なサービスが問題
- 変形性膝関節症説明
- Sarmiento(サルミエント)先生(南カリフォルニア大学元教授)は、今から17年前の2000年の日本整形外科学会総会で「整形外科学の将来に関する考察」という題名の講演をされました(Sarmiento A:J Orthop Sci 5:425-430,2000)。人工関節置換術やペディクルスクリューを使った手術ではテレビなどで多く紹介された「神の手を持つ」と呼ばれている一握りの整形外科医が沢山の手術を行っています。手術の後も含めて的確な治療ができでこそ「神の手」になるはずなのに、彼らは術後の看病は部下の医者に任せっきりです。神の手を持った医者は自分の手術がどんなに素晴らしいか示すために手術の成績を論文にしますが、その成績は直接診察した成績ではなく、多くはアンケートによる調査です。人工関節置換術やペディクルスクリューはマニュアル通りすれば、誰がやっても同じ結果になるはずです….17年後の日本でも同じことが起きていると僕は思います。(論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝)