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- 説明
健康保険組合連合会は病院で処方される薬のうち湿布・花粉症の治療薬など市販薬で代用できるものは保険適用外とする案を2019年8月23日に発表しました。現在でも湿布は1回の処方で70枚までという制限があります。湿布は薬局で買うより病院でもらった方が安いです。例えば、ある湿布は薬局で買うと1枚140円ですが、医療機関では3割負担の人は7円、1割負担の人は2円と薬局で買う値段の70分の1で済みます。また、医療機関にとって湿布だけをもらいに来る患者さんは、手間がかからず、平均売り上げを下げるので無駄な医療をしていないように見えるため有り難いと思う医療機関もあるでしょう。そのような意味で僕は医療費を削減するために湿布を自費にすることに賛成です。しかし、ある調査では1回に70枚の湿布が処方されている患者さんの年齢層を調べたところ、80歳代が多く36%を占めていたそうです(小松正典ほか:日本地域薬局薬学会誌.5: 10-13,2017.)。いろいろな箇所に湿布を貼っている年金暮らしの高齢者にとって高い値段で湿布を買うとは大きな負担になると思います。それから、腰が痛くになった時に薬店で湿布だけを買い、我慢していると実は内臓の病気が原因であり、重症化していたということも起こりえると思います。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
湿布が自費になるのは医療費削減になるが、困るのは高齢者
- 変形性膝関節症説明
変形性ひざ関節症の患者さんを治療していると激しい運動や怪我をしたわけではないのに突然膝の激痛を訴えてこられる方が時々します。その点について末永先生らは「中・高齢者の半月損傷に関しては急激な痺痛発症で歩行困難なほどの症状を呈する場合は,内側半月後角横断裂を念頭に置く必要がある」と述べています(末永英慈ら:整形外科と災害外科.58: 437-440,2009.)。そんな場合は関節鏡で確かめながら膝の内後ろに打つ注射が効果的です。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
治療で順調だった膝に突然激痛がくるのは半月板後角のせいかも
- 腰痛説明
骨粗鬆症の見た目の悩みは背骨の骨がいつのまにか骨折を起こして背中が丸くなってくることですよね。これを脊柱後彎変形といいます。脊柱後弯変形になると歩く時のバランスを悪くして,新たな骨折の誘因となる転倒のリスクを増加させます。脊柱後弯の増強には,背骨の骨折だけではなく,背筋力の低下も関与します(宮腰尚久: The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine.56: 367-370,2019.)。背筋を鍛えるにはうつぶせ寝になってお腹に枕を敷き、リュックサックを背負って状態を起こす運動を 1 日 10回行いましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
骨粗鬆症の進行予防にバックパックで上体を起こそう
- 五十肩説明
僕が朝公園でジョッギングをしていると肩をぐるぐる回している人がいます。僕は「あんな運動何の効果もない」と思っていましたが、肩甲骨上方回旋距離が伸び、筋肉の柔軟性が獲得できると知り、目から鱗でした。大久保先生達は肩こり症を有する26名に肘引き、腕上げ、両手かわし、肘回し、あぐらストレッチを3週間行ってもらいました。その結果関節可動域に明白に改善し、筋肉の厚みも増しました(大久保勝朗ほか:日本職業・災害医学会会誌66: 470-475,2018.)。その理由は筋の「弛緩一伸張一短縮」およびこれを促進することにより,血流と酸素供給が適正に促進され,アクチン・ミオシンなどの働きを活性化することで筋肉そのものに弾力性,柔軟性が獲得されるからだそうです。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
手を胸に当てたまま肘が挙がりにくい人は肩をぐるぐる回す運動をしましょう。
- 腰痛説明
西村先生達は腰痛が継続して3ヵ月未満の者を非慢性群(21名)、3ヵ月以上腰痛が続いている者を慢性群(40名)に3分間の膝伸ばしと腰回し運動を椅子の上で行ってもらいました(西村愛奈ら;保健医療学雑誌.10: 55-60,2019.)。その結果、3ヶ月未満の人にも慢性の腰痛の人も改善したそうです。その理由は膝のばしによってふくらはぎのゴルジ腱器官から発射される抑制インパルスによって筋肉が柔らかくなることと腰を回すことで骨盤周囲の噛み合わせが良くなることで椎間板へのストレスが減少したと考えられました。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝