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- 腰痛説明
- いきなりクイズです。次のうち腰痛を悪化させない電車内での寝かたはどれでしょうか?正解はCです。Aのあごを引いてねると本来前向きのカーブである首の骨のカーブが後ろ向きのカーブとなり、背骨の全体のバランスがくずれ、腰にかかる負担が増えます。Bの横にかたむいてねると傾いた側の骨盤に負担がかかり腰痛がでてきます。Cの窓に頭をつけるとAで説明した本来前向きのカーブである首の骨のカーブが保たれるので、腰にかかる負担は少ないです。 次にベッドでの寝方です。腰痛が強い時にベッドから起き上がる時は、ひざと股関節を曲げ、痛む方の腰を上にして横向きに寝返りし、その体勢のまま横から手で支えて起き上がりましょう。反対に寝転ぶ時は、痛む方を上にしてひざと股関節を曲げ、横向きに寝た後、ゆっくり寝返って仰向きになりましょう。 腰痛があるときにいつもと同じように仰向けに寝ると、腰に負担がかかり、痛みが増してしまいます。そんなときは入院患者さんには上半身を少し起こし、股関節とひざ関節を軽く曲げた姿勢をとってもらいます。この姿勢を「セミファーラー位」といいます(Cailliet R(萩島秀男訳):腰痛症、医歯薬出版、第3版:80頁ファーラー位,1988)。 自宅では、枕やクッションを使って姿勢を整えます。介護ベッドを使っている場合は、上半身を20~30度くらい起こし、ひざの下を少し浮かせるようにしてください。腰痛がある時には、横向きで寝るのもおすすめです。その場合は、背中に枕をあて、股の間にも枕をはさみ、さらに抱き枕を使うと、腰痛がやわらぎます。 本の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
腰痛が激しい時の寝方:痛みの強い方を上にして寝る。枕を膝の下に入れる。
- 変形性膝関節症腰痛説明
- 「正座は膝に悪い動作ですから止めましょう」と言うのは簡単です。でもある調査では、136人の高齢者を対象に,正座の不自由に関する調査を実施した.その結果、「正座をする時に不自由を感じる」と答えたのは43名(31.6%)で,不自由の理由は「膝が痛い」最もが多かったそうです。正座に.不自由を感じている人は感じていない人に比べて自分で自分健康でないと思っている人が多く、冠婚葬祭や地域行事への参加を遠慮している人が多かったそうです(山本美幸,ほか:理学療法科学.19: 281-284,2004.)。つまり、日本人の高齢者にとって、正座できないと自信をなくしてしまう高齢者が多いのです。 正座の訓練としては、股関節を屈曲させた膝抱え動作(大腿直筋弛緩動作)を20秒×2~3回行う訓練が良いそうです(丹羽滋郎:整形外科看護 10巻:395-397,2005.)。 また、正座は腰痛予防になるという説もあります。腰痛の方は足首が硬い人が多いです。腰痛があって足首が硬い人はつま先中心の歩き方をしていてる人が多いです。正しい歩き方は先に踵を地面に着けてからつま先で蹴る足の裏全体を効果的に使った歩き方です。金先生は朝30秒の正座は日常生活の中で偏りがちな左右の足に対して同じ力で圧をかけて、足首やひざの周りの筋肉や関節の状態を左右均等に整えてくれると書いています(金 聖一;「朝30秒の正座」で腰痛が治る.ダイヤモンド社,2013)。論文の解説:江坂駅前の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
変形性膝関節症でも腰痛でもあまり痛まなければ積極的に正座した方が良い
- 肩こり若い人の整形外科説明
- 休日の朝は遅くまで寝て、平日の睡眠不足を補おうと考える人は多いと思います。でも、オーストラリアの研究では、日曜の朝は平日より平均3時間遅く起きる寝だめをする人と平日通り起きる人との間で月曜日と火曜日の疲労度を比べました(Taylor Amanda:Sleep and Biological Rhythms.6:172-179,2008.)。その結果、寝だめをした人では、日曜日の夜に寝付く時間遅くなり、平日通り起きる人に比べて月曜日と火曜日の日中の疲労と眠気が明らかに強くなっていました。 また、いびきをかく人は一人で寝ている分には誰にも迷惑がかかっていないと思っているでしょう。でも、実は呼吸が浅い状態であり、その音が深い睡眠を妨げます。また口で呼吸することによって病気の原因となる空気中の雑菌がダイレクトに体に入りこみます。電車の中の居眠りでもいびきをかいている人は頭が後方に倒れ、口を大きく開いている人に多いです。だから、いびきは自分の迷惑になるのです。眠る時には高い枕ではなく首の後ろにバスタオルを巻いた物を当て、頭があまり後ろに倒れないようにしていびきをかくのを防ぎましょう(田中宏:6万人の患者が改善! 腰痛・肩こり・頭痛を解消 寝るだけ整体.アスコム.第1刷,2017)。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
休日は寝溜めは疲労の素。いびきは自分の迷惑になる
- 腰痛説明
- ぎっくり腰の原因は重い物を持ち上げた時だけではなく、背骨を反らして高い所の物を取ることがあります。背骨を反らせると最長筋という筋肉が腰の骨から肉離れをおこし、腰痛が起こることがあります。なぜならば、最長筋という筋肉はあまりに長い筋肉なので、第3腰椎にも枝を出して、たるまないようにしているからです。でも足を前後に軽く開き、前足に体重を乗せれば、背骨を反らすことできないので腰痛予防になります。だから、腰痛になりやすい人は高い所の物を取る時には足を前後方向に開きましょう。 他のぎっくり腰の原因としてはシャベルを使う作業があります。北海道の理学療法士の先生研究では、肩と腰と太ももの筋肉の活動量を測りながらショベルを使って雪に見立てたおもりを身長の50%、75%、100%,125%の高さに放投げる動作をしてもらいました(田中昌史ほか:北海道理学療法.31:56-60,2014)。その結果、身長の125%の高さでの腰の筋肉の活動量75%の時の筋活動量よりも統計学的に明白に高くなっていました。だから、シャベルを使った土砂のかきだしや雪かきでは身長より低いところに土砂や雪を捨てるようにしましょう。 解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
ぎっくり腰の予防のため高い所の物を取る時には足を前後に開こう
- 腰痛若い人の整形外科説明
- 背骨を一番下で支えている仙骨と足の付け根である股関節と繋がっている腸骨の間にある関節を仙腸関節といいます。 この関節にずれが起こってくると車や電車の乗り降りなどお尻をずらさなければならない動作で痛みが起こってきます。また、範囲も腰だけではなく、お尻から太腿の外側に広がります(林典雄: 理学療法研究33:3-7,2016)。仙腸関節の問題があるかどうかはパトリックテストという方法で確かめます。寝転がってシェーのポーズをした時に反対側の骨盤を押さえながら(骨盤を固定)膝を押してもらった時には痛まず、骨盤を固定せずに膝を押した時に痛みがあれば、仙腸関節の障害です。コルセットを少し、下目に巻いてみましょう。 思い切り息を吐きながらお腹を突き出した時にお腹を触ると固くなっていますよね。お腹が固くなると重い頭(平均7kg)を支えている背骨にかかる負担がへり、腰痛の危険性がへります。しかし、女性はお腹で息を吐く力が弱いです。国内のある大学では、17人の慢性的な腰痛のある女性と17人の腰痛のない女性の肺活量検査を行いました(金子秀雄ほか: 理学療法科学.31:799-804,2016.)。その結果、腰痛持ちの女性は腰痛のない女性に比べて、胸いっぱいに息を吸い込み、一気に吐き出した空気の量(努力肺活量)が少なかったです。だから、女性の腰痛の予防には腹式呼吸(吸うときにお腹を膨らませ、吐くときにはお腹をへこませる呼吸法)が良いです。また、大きな風船を膨らませるのも良い訓練になるでしょう。 論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝