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- 説明頸椎
- Bannister先生達の研究ではむち打ち症は時速約20km以ドでの無自覚状態での追突による発生が多いかったです(Bannister G, et al.:J Bone Joint Surg Br.91:845-850,2009.)しかし、独立行政法人自動申事故対策機構が32kmの速度で後ろからの衝突した時の頚部にかかる力は50kgの人が10cmジャンプしたものと同様の弱い外力であり、骨や靱帯が損傷される強さではありませんでした。この点について三木先生は、「交通事故、労働災害、医療関連など第三者(他人)によって引き起こされた怪我では、普通の怪我の治療の際には考える必要のあまりない心理・社会的因子を含めて本人が解決するための助けが必要である。」という内容を述べています(三木健司ら:Orthopaedics.28: 77-86,2015.)論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
むち打ち症は縄跳びより弱い衝撃で起こる?
- 説明頸椎
- 頸椎ラディクロパチーは腕や手のしびれ・痛みがあり、頚椎を後方へそらせると症状が増強し、X線(レントゲン)で頸椎の骨と骨との継ぎ目に棘のような骨を認めることで診断します。日本語では頸椎神経根症と訳されています。頸椎ラディクロパチーの治療の流れは、外来通院で内服薬(痛みや炎症を抑える薬など)と頚椎カラーを装着してもらい,症状の改善が得られない場合には、入院してもらい持続牽引と頚部硬膜外ブロック(10回前後)注射を行い、それでも症状が得られない時には手術を行います。豊田先生達の調査では24人の患者さんの中で13人に喫煙習慣があり、1日平均本数は14本でした。もし、タバコを吸っておられる方で腕や手にしびれや痛みを感じたらタバコの本数をまず減らしましょう(豊田 耕一郎ほか:Journal of Spine Research1:1200-1202,2010.)。また頸椎カラーは67%(3分の2以上)の患者さんで装着しており、その期間は平均12週間でした。12週間というと3ヶ月足らずで長く感じるかもしれませんが、気長に頸椎カラーを装着することをお薦めします。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
頸椎ラディクロパチーではネックカラーを平均12週間装着していた
- その他説明
- 「股座膏薬」という言葉をご存じでしょうか?そうですね。股の内側に塗った膏薬が、動くたびに右足についたり左足についたりすることから、あっちについたり、こっちに付いたり、イソップ童話のコウモリのような行動を表しています。はがれ易い湿布は安物のイメージがありますが、湿布を貼るとかぶれるの原因は湿布の原因ではなく、湿布をはがす時に皮膚の角層をはがしてしまうからなんです(川原康慈.薬局64: 3153-3157,2013.)。 湿布をあまり強力に固定したり、長時間貼るのは止めましょう。吹田市江坂戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 大和大学整形外科非常勤講師 戸田佳孝
ズレにくい湿布が良い湿布ではない
- 変形性膝関節症説明
- 香港理工大学のチェン博士は60歳以上の102人の変形性ひざ関節症にヒアルロン酸注射を打ち、その効果を減少させる要因について検討しました。その結果、強いひざの痛みとうつ状態が自分で評価した膝の機能改善に最も悪い影響を与えていました。つまり、痛みの強い時や気分が落ち込んでいる時にヒアルロン酸注射は逆効果であると考えられます。(Chen YP,et al. J Orthop Surg Res. 2019 27;14:387)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
鬱の時にヒアルロン酸を打っても変形性ひざ関節症の機能が悪くなるだけ
- 変形性膝関節症説明
- ワシントン大学のデイビス博士は変形性ひざ関節症患者さんを4年以内にレントゲン写真で重症になった92人の急行進行グループと8年経過しても少ししか進行しなかった380人の普通進行グループと8年経過しても全く進行しなかった875人の無進行グループに分けました。その結果、関節鏡検査を受けた割合は急行進行グループでは32%、普通進行グループでは8%、無進行グループでは0%であり、飲み薬を処方されていた割合は急行進行グループでは61%、普通進行グループでは43%、無進行グループでは41%でした。また急行進行グループでは定期の処方以外にも臨時で処方をしてもらう頻度が高かったです。以上の結果から彼らは急速に進行する変形性ひざ関節症患者は、より多額の医療費を浪費しているにもかかわらずいろいろな治療を試してみる重要な患者集団であると述べています。(Davis JE,et.al. ACR Open Rheumatol. 2019 1:359-364)。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝