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- 老化腰痛説明
尾形先生は論文で次のような内容を書いたおられます。『腰痛の原因究明は整形外科全体の中でも特に難しい分野です。体の中心部に存在する腰椎は 外部からの触診により病変部を直接触れることが困難であるし画像的に椎間板変性や 脊柱アライメントの異常があってもそれが単なる歳の変化なのか痛みの原因であるかを区別しにくいです。患者さんに間診し、時間をかけてじっくり診察することにより変部位を推測しそこに一致した画像所見があって初めて診断名をつけ,治療方針を決定しますが、この「診断名」はあくまでも「仮説」でありそれにあった治療をしてみて期待したとおりの結果が得られて初めて確定診断となるのです。』(尾形直則:脊椎疾患による慢性疼痛の薬物療法.整形・災害外科.62:1331-1338,2019)。そんな診断で手術をして「やっぱり違っていました。」では済まされないと僕は思います。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
腰の手術を薦めない理由の一つは本当に手術する場所が原因かどうかわかりにくいから
- 老化腰痛説明
骨粗鬆症は腕や脚の筋肉が痩せてくるサルコペニアと深い関わりがあるのです。ある研究では260名の圧迫骨折のない骨粗鬆症患者さんの腰の骨の並びを調べたところ7割以上の患者さんで腰曲がりが発見されたそうです(宮城正行ほか:骨粗鬆症・椎体骨折と腰曲がり.整形・災害外科.63: 195-202,2020)。また、590名の閉経後のフィンランド女性を対象とした調査では, サルコペニアと診断されたグループではそうでないグループと比較して骨柤鬆症と診断される確率が13倍だったそうです(16. Sjöblom S, et al: Relationship between…Maturitas. 75:175-180,2013)。つまり、骨と筋肉はともに助け合っており、どちらかが痩せれば、もう方も痩せるのです。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
骨粗鬆症は筋力も低下させる。
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動物実験からわかった骨粗鬆症とサルコペニアが同時に起こり易い理由については、骨に必要な栄養素を補給するビタミンDに反応しにくくしたマウス(ノックアウトマウス)に筋トレさせても筋力が回復しなかったことから年齢の変化によってビタミンDの欠乏によって骨粗鬆症のみならずサルコペニアも起こることがわかりました(Sakai S et al : Vİıamin D… J Bone Miner Res30 (Suppi 1) : 128—136. 2015)。だから、熟年になれば、ミルクや卵、鮭や大豆をしっかり食べてビタミンDの補給に努めましょう。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
骨粗鬆症で胃や肺が悪くなってくる
- 老化腰痛説明
骨粗鬆症は腕や脚の筋肉が痩せてくるサルコペニアと深い関わりがあるのです。腕や脚の筋肉のサルコペニアで腰曲がりが起こり易い理由の一つは脚の筋肉が弱ってくると歩く時に膝を曲げて歩くようになり、骨盤の骨が後ろに傾き、そのバランスをとるために背骨が曲がってきます。腕の筋肉が痩せてくると歩行中の肩の動き(腕の振り)が小さくなってくるので,背筋を伸ばさなくなります。そこに骨粗鬆症による圧迫骨折が加わるとさらに腰曲がりが進みます。だから、骨粗鬆症による腰痛を防ぐためには圧迫骨折が起こる前からスクワット運動やガーデニングなどで脚腰の筋肉を鍛えて良い姿勢を維持しましょう。解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝
腕や脚の筋肉が痩せてくると腰が曲がってくる
- 腰痛説明
骨粗鬆症による圧迫骨折は女性よりも男性に高い確率で起こります。しかし、重症の圧迫骨折は女性に多いという特徴があります。ある調査では40歳以上の1,486名の日本人の腰椎のレントゲン写真を撮影した結果、圧迫骨折の見つかった人の割合は男性では21.3%であり、女性の10.3%よりも多かったです。だから、男性も骨粗鬆症による圧迫骨折の予防をして下さい(堀井千彬ほか:骨粗鬆症性椎体骨折の有病率…整形・災害外科.63: 129-134,2020)。腰椎の圧迫骨折はつぶれにくい椎体の後ろの高さを100%とした時のつぶれやすい前の高さが何%減っているかで分類します(Johnell O et al.: Morality after osteoporotic… Osteoporos Int 15 : 38-42,2004)。前の高さの減少が20%未満の時を正常(0度)、20%以上25%未満の時を軽症(1度)、25%以上40%未満の時を中程度(2度)、40%以上を重症(3度)と呼びます。先ほどの日本人を対象とした調査では、軽症の1度は女性よりも男性に多く、重症の3度は男性よりも女性に多かったです。その理由は若い頃から重荷を持つことが多い男性の方が腰椎が骨折する機会が多いが閉経後に骨がもろくなっている女性の方が骨折すると変形しやすいのだと考えます。論文の解説:江坂の整形外科診療所 戸田整形外科リウマチ科クリニック院長 戸田佳孝